大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ

富士通エフサスが非ICT領域を攻める理由とは?~今井社長に新たな事業への挑戦を聞く

富士通エフサスの今井幸隆社長

 富士通エフサスが2013年6月26日に、「みなとみらいInnovation & Future Center」をオープンしてから約3カ月半が経過した。富士通エフサスの今井幸隆社長は、「富士通エフサスの人材教育の場として、また将来に向けた新たなビジネス創出の場としても活用できる拠点。2015年度までには新たなビジネスで売り上げ構成比の10%を目指す。そうした成果がここから生まれることを目指したい」と語る。

 そして、この取り組みは、富士通エフサスが目指す、非ICT領域へと歩みを進めるための大きな一歩となる。すでに具体的なソリューションとして、「FUJITSU Infrastructure System Integrationオフィスまるごとイノベーション」を開始。2014年に設立から25年目を迎える同社にとっての、新たな挑戦となる。

 なぜ、富士通エフサスは、非ICT領域へと踏み出すのか。「みなとみらい Innovation & Future Center」への取り組み、そして「FUJITSU Infrastructure System Integrationオフィスまるごとイノベーション」を開始した狙いなどを、富士通エフサスの今井幸隆社長に聞いた。

Changeする富士通エフサス

 富士通エフサスは、富士通グループにおいて、情報システムの保守・運用サービスを行う企業として、また、機器販売やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などにも実績を持つ。

 その富士通エフサスのビジネスが、大きな転機に差し掛かっている。富士通エフサスの今井幸隆社長はその状況を次のように語る。

 「ICTは、企業経営にとってますます重要性が増している。それにあわせて、当社のビジネスも従来のITインフラサービスのリーディングカンパニーという位置づけだけでは、すべてのニーズに応えることができなくなってきた。グローバル化をはじめとした社会構造の変化、クラウドの活用などによるスピードの重要度が高まり、既存の枠組みを超えた新たなサービスの創出が求められている。当社に求められているのは、ビジネス効率化のツールとしてのICTではなく、事業強化、新たな価値創造に活用されるICT。ICTインフラの安定運用にとどまらず、業務運用やBPOといったICT領域以外へと拡大したトータルサービスを提供する必要がある」と語る。

 続けて、「2013年度からの3カ年で、人財育成と現場起点のイノベーションを通じてトータルサービスのリーディングカンパニーにChangeすることを目指す。その取り組みにおいて、みなとみらい Innovation & Future Centerの役割は大きい」と語る。

 同社では、2015年度までの3カ年で年平均成長率5%増を目指している。2012年度の2662億円の売上高実績をもとに計算すると、2015年度には約3000億円の売り上げ規模となる。このなかで、全社売上高構成比の約45%を占めるサポートメンテナンス事業の売上高は微減、約25%を占める運用サービスは微増を計画するなかで、農場におけるセンサーを活用したビッグデータ活用提案、高齢者医療分野でのICTを活用した巡回医療の効率化などの新事業への取り組み、マルチベンダー保守対応といった新たなビジネスの拡大が成長領域と見ているほか、これまで同社が取り組んでこなかった非ICT領域の新事業創出が成長の鍵になると判断している。今後3年間の約300億円の成長分は、こうした分野で担うという構図だ。

(大河原 克行)