「ぬるま湯的体質を脱却して中期計画を必達する」~日本ユニシス・黒川茂社長


 日本ユニシスが、2014年度を最終年度とする中期経営計画を始動させた。2014年度の売り上げ計画は2800億円、営業利益率は5%。そして最終利益では80億円を目指す。あわせてクラウドなどを活用した、パートナーとの共創ビジネスをはじめとする新規ビジネスで、100億円規模の売上高を新たに生み出す計画を掲げる。

 日本ユニシスの黒川茂社長は、「なんとしてでもこの計画を達成し、ぬるま湯的な体質からの脱却を図りたい」と強い意志をみせる。2011年6月に社長に就任して以降初めて打ち出した、具体的な事業計画の達成に挑む黒川社長に話を聞いた。

 

技術力、現場力、スピード力を重視する

――2011年6月に社長に就任して以降、経営において、黒川社長はなにを重視してきましたか。

日本ユニシスの黒川茂社長

黒川社長:私は社長に就任してから、技術力、現場力、スピード力という「3つの力」を重点的に強化していく方針を打ち出しました。

 私はSE出身であり、3年前まで、直接お客さまに対してサービスを提供する現場にいましたので、現場の重要性を肌で感じ、理解しています。その経験から、単純なシステムサービスだけを提供するのではなく、お客さまに本当の意味での付加価値を提供することの大切さを感じています。

 つまり、日本ユニシスが対象とする「現場」は、単にIT部門に対してソリューションを提供するだけにとどまらず、エンドユーザー部門や、お客さまのさらにその先のお客さまに対する「現場」にまで広がっています。そこに広げていかないと日本ユニシスのビジネスは拡大しません。ここに現場力という意味があります。そして、技術力は日本ユニシスにとって根幹となります。

 私は、新人のときに、金融機関のお客さまの現場でアプリケーション開発を経験し、それが社会人人生のベースにある。そして、技術はどんどん進歩を遂げ、技術の広がりとともに、ビジネスも広がりをみせている。こうした経験が技術の大切さを実感することにつながっています。技術力は、ビジネスを成長させる意味で不可欠なものであるというわけです。

 その一方で、世の中のビジネススピードはどんどん速くなり、それに伴いシステム構築の速度も急速に速まっている。もちろん、2~3年かけてじっくりとシステムを開発するといった案件もありますが、特に、流通業のような業種では、インターネットを活用した新たなビジネスが次々に登場し、それに対応できるスピード力が求められている。こうしたスピードに対応した技術力も必要です。

 私は、社長に就任して以降、お客さまのもとに出向き、経営トップはなにを考えているのか、なにを欲しているのかを直接聞くことに時間を割いてきました。そのなかで感じるのは、東日本大震災以降、BCPに対する経営トップの意識が高くなっているという点です。この約半年間にわたって、それを迅速に社内にフィードバックすることに力を注いできました。

 

もっとも足りないのはスピード感

――「3つの力」のなかでもっとも欠けていると感じているのはどれですか。

黒川社長:どれも足りていないと思っています。中でもスピード力が足りないと感じます。お客さまに対するスピード感が足りない、そして、社内のやりとりでもスピード感が足りない。

 例えば、スタッフにある課題の検討を依頼すると、結論を出すのに「今月いっぱいでまとめます」、「今期中にやります」という返事が返ってくる。今月いっぱいかけるのではなく、来週早々に結論を出せるだろう、というような話があまりにも多いのです。もっと、仕事の時間軸を短くしないといけない。

 特にお客さまから離れたところで仕事をしている社員のスピード感が十分ではない。お客さまのビジネススピードが速まるなかで、日本ユニシスがそれに追いついていないという感じがあります。現場では、お客さまにお尻をたたかれていますよ(笑)。

――なにが原因なのでしょうか。

黒川社長:日本ユニシスは、メインフレーム中心でビジネスをやってきた経緯があります。メインフレームは6~7年というビジネスサイクルが基本ですし、ソリューション提案も、従来のシステムをベースに改良していくことが多く、1~2年をかけて開発すると、あと数年は更改がないというビジネススタイルでした。

 また金融機関の勘定系システムでは、更改が15年に一回、20年間に一回ということになる。つまり、スピード感を持って対応していかなくてもいい時代の経験が根底にある。いまのインターネット型のビジネスについて行くという気持ちが十分ではなかったという反省があります。

 

あえて「ぬるま湯的体質」と表現

――2011年12月20日に、2014年度を最終年度とする中期経営計画を発表しましたね。このなかで驚いたのは、黒川社長自らが、日本ユニシスの体質を「ぬるま湯的体質」と表現したことでした。

黒川社長:この言葉を使うかどうかは、社内でも議論があったのですが(笑)、この言葉だけは残そうと決め、発言しました。この言葉をあえて使ったのは、「日本ユニシスはこれから変わるんだ」ということを、社内外に宣言する意味があったととらえてください。

――どこで「ぬるま湯」と感じたのですか。

黒川社長:日本ユニシスは、過去4年間にわたって、売上高が減少している。そのなかで、私が感じたのは、落ち込んでいるということよりも、自分たちで立てた計画をやり抜くという意識が弱まっているということでした。

 毎年のように、立てた計画が達成できないと、社内に達成しなくても仕方がないという感覚が芽生えてしまう。上から落としてきた計画だから、仕方がなくやっているという思いもあったのではないでしょうか。そして、計画を達成しなくても、社員の評価はそう変わらないという悪い温床もあった。そういう雰囲気が広がると、計画は絶対に達成できない。

 これまでは、評価基準はあったものの、その評価が平均点のところに寄ってしまうという傾向がありました。評価制度の運用面に課題があったともいえ、成果を出した人も、成果を出さない人も、あまり評価点が変わらないということになっていた。これではいけない。成果を出した人はきちんと評価をして、駄目だった人は駄目だといわなくてはならない。ここにも「ぬるま湯」という言葉を使った理由があります。私は、こうしたことを、内部にも、外部にも、きちっとお話しすることが大切であり、それによって、社内を変えていきたい。

 私は、社長に就任してから、これまでの「働きやすい会社」を目指すという表現を、「働きがいのある会社」を目指すという表現に変えました。それはきちっと評価するという意味でもあります。

 いまは、不採算案件の削減などに取り組んでいることもあり、なかなか数字にはつながっていないが、新たな顧客獲得の成果などが出ており、サービスの受注残も増えてきた。社員が一丸となって変革に挑む手応えを感じています。

 

技術力こそ日本ユニシスの強みだ

――いま、日本ユニシスに求められているのは、どんな要素であると感じていますか。

黒川社長:日本ユニシスは、銀行オンラインをはじめとするミッションクリティカルシステムで多くの実績を持ち、さらにこれを地銀向け勘定系システム「BankVision」として、Windowsをベースとしたオープン系システムを提供しています。

 こうした技術力の高さはお客さまから高い評価を得ています。日本マイクロソフトとの協力関係によって開発したBankVisionは、すでに7行に導入され、2011年10月には、石川県の北國銀行の導入が決定するなど、合計で9行への採用が決定しています。特に北國銀行の経営トップと話をして、日本ユニシスに対して、相当な期待があることを実感しています。

 BankVisionの採用のポイントは、BCPに対するコンセプトでした。以前から採用しているメインフレームではバックアップはできても、短期間で復旧できるシステムにはなっていなかったようです。しかし、BankVisionでは、かなり短期間で立ち上げることができる。お客さまの価値向上に貢献できることを明確に提案できたのです。ある調査では、システム構築における顧客満足度で、日本ユニシスがトップになるといった高い評価も得ています。技術力は日本ユニシスの強みであり、お客さまから求められている要素だといえます。

 そして、もうひとつは日本ユニシスには、さまざまな業種のお客さまがいるという点です。これが強みになっています。

――それはどんな点ですか。

黒川社長:地方の金融機関では預貸率の減少が大きな課題となっています。預金があるが、貸付先がない。また、運用といっても、いまはかなりリスキーであるといわざるをえない。そうしたなかで、金融機関が打ち出しているのが、地域のお客さまにいかに価値を提供できるかという点です。

 日本ユニシスが持つ数多く実績を背景に、さまざまな業種に関する事例をお話しさせていただくと、大変興味を持っていただき、金融機関とほかの業種が、いかに連携を行えるかという話になるのです。これが日本ユニシスの直接のビジネスに結びつくかどうかはわかりませんが(笑)、金融機関は、地域の企業と連携した提案に踏み出せる。私どもの事例を紹介することが金融機関にとってのプラスになる。

 一方で、われわれが提案する情報提供の仕組みにも興味を持ってもらっています。例えば、日本ユニシスでは、日本の中小企業やクリエイターの海外販路拡大のための支援事業を開始しており、その第1弾として、先ごろ、地域の伝統工芸品を対象に情報提供をしたり、EC機能を持つ専用サイトして「JCRAFTS.com」を立ち上げました。これは東日本大震災の被災地の伝統工芸品を中心にした情報を海外に向けて発信していくもので、地域活性化にもつなげることができるものと考えています。

 また、加賀藩の武士が当時食べていたレシピを紹介した書籍「武士の食卓」の一部を英訳して、Facebookで紹介しはじめたところ、6万6000人以上のファンを獲得し、そのうちの98%が海外のユーザーとなっています。日本のFacebookページの本・雑誌部門においては、パーゴルフ、ドラえもんに次いで、3位になっている。

 こうした新たなプロモーション手法も提案しています。これはすぐにはもうけにつながるものではありませんが、新たに取り組む共創ビジネスのひとつとして、積極的に取り組んでいきます。従来のSIおよびNI以外にも、こうした新たな取り組みを通じて、地域活性化が図ることで、パートナーとの連携強化を促進していきたいと考えています。

 

売り上げにこだわり、落ち続ける売上高を止める

――中期経営計画では、2014年度に売上高で2800億円、営業利益率5%とともに、現在、約9300人の社員数を、8000人へと削減する計画も掲げています。こうしたいくつかの指標のなかで、もっとも重視するものはなんですか。

中期経営計画の基本方針
2014年度に売上高2800億円、営業利益率5.0%を必達目標として掲げている

黒川社長:もっとも重視するという意味ではありませんが、やはり、売上高にこだわっていくことは重要です。落ち続けている売上高に歯止めをかけたい。2800億円というのは、コアビジネスの売上高であり、コアビジネスをきちっとやることはひとつのこだわりである。これに新規ビジネスとして100億円程度を上乗せし、これらを含めて、できれば3000億円という規模を早期に目指したい。

 新規ビジネスは、大化けするかもしれないし、そうはならないかもしれなません(笑)。だが、新規ビジネスには果敢に取り組んでいきたい。もうひとつこだわりたいのは、営業利益率。これを実現するために、8000人という社員数にはすごくこだわっています。2800億円~3000億円の売上高を想定した場合、9300人という社員数は明らかに多すぎる。必達目標として、取り組んでいきます。

――8000人規模が適正だという判断ですか。

黒川社長:8000人が適正規模かどうかはいまの時点ではわかりません。もう少し踏み込む必要があるかもしれません。しかし、体力を落とすことが本来の目標ではなく、体力を保持しながら、スリム化し、筋肉質な体質にするのが目標です。その上で、まずは8000人がひとつの目標となります。

 ここまでいけば、営業利益率の目標については近いところまでいくでしょう。売り上げを高め、コストを抑え、社内外を含めた人材の有効活用に取り組むことで効率化させていくことになります。


固定費を圧縮し2014年度までに15%削減するという人事制度改革を行うほか、社員数を8000人体制へ削減する

 

お客さまに認められるパートナーになりたい

――最終年度となる2014年の日本ユニシスの姿はどんな形になりますか。

黒川社長:日本ユニシスは、中期ビジョンのなかで、「パートナー」という言葉を使っています。「ICTの最適化を実現できるNo.1パートナーとなる」、「ICTをてこにお客さまに付加価値を提供できるパートナーとなる」、「ICTを活用し社会基盤の提供に貢献できるパートナーになる」という、3つの観点から「パートナー」になりたい。つまり、お客さまからきちっとした形で、パートナーだと思われる、認められることが大切だと。

 いま、日本ユニシスに対して使われている言葉は、「ITベンダー」や「ベンダーさん」、あるいはもしかしたら「出入り業者」(笑)といわれているかもしれません。そうではなく、コアビジネスにおいて、よりよいパートナーとして認識され、ICTの最適化のナンバーワンパートナーでありたいと考えています。

――それを実現するには、なにが必要ですか。

黒川社長:ICTの技術進化が加速する一方で、お客さまのビジネス環境も広がっています。そうしたなかにおいて、お客さまの要求のまま、システムを構築し、提供し続けるのがいいのかというと、必ずしもそうとは言い切れないと思っています。

 これまでのシステム構築は、お客さまのいうとおりに作り、期限通りに納めるのがいいシステムだといわれてきた。しかし、お客さまのビジネススピードの変化や技術変化を考えると、「こうやった方がいいのではないか」というわれわれからの積極提案がお客さまから求められている。そこに踏み出していきたい。

 一方で、事務処理のような基幹部分は、すでにひと通りのものができあがっていますから、お客さまにとっても独自性や戦略性がある分野ではない。誤解を恐れずにいえば、他社のソリューションでも差はありませんから、「既製服」でもいける分野です。しかし、顧客支援や、CRMなどには戦略性を求めている。お客さまの多くは、そこにこそ、投資をしていきたいと考えています。それをしっかりと提案していく必要があります。

 この役割を担う社員を、社内では「目利き」と呼んでいますが、この目利きが中心となって、お客さまの課題ととらえながら、技術の進歩や経営環境の変化をとらえ、最適化する提案を行っていく。お客さまのいうとおりにカスタマイズしてお金をもらうという時代ではなく、目利きをする技術力と、お客さまの課題をよく理解することで、業績拡大へとつなげていく。ここに、共創ビジネスのチャンスがあると考えています。

 

ビジネススピードの加速を受けた“導入型”ソリューションの強化も

――中期経営計画のなかでは、カスタマイズからの脱却を加速させていく姿勢も強調していましたね。

流通次世代基盤「CoreCenter」のような、導入型ビジネスへの転換を目指す

黒川社長:これまでのテンプレート型ではなく、導入型という仕組みを用いることで全体最適化を図れる領域も多い。例えば、日本ユニシスでは、流通業向け業務別システムをコンポーネント化して提供する「CoreCenter」を提供しています。間もなく第1号ユーザーでのシステムが稼働することになります。

 実は、通販を行っているあるお客さまで、CoreCenterを活用したシステム商談を進めていたところ、現場において、CoreCenterのコンセプトから外れる動きがあったため、直接、私に電話が入り、「アプローチの仕方が違うだろう」とおしかりを受けたことがありました。むしろ、お客さまにCoreCenterのコンセプトを高く評価していただき、逆に励まされています(笑)。

 お客さま側では、ビジネススピードが加速するのにあわせて、短期間に導入することを優先する例が増えています。手厚いカスタマイズを求めるよりも、スピードや、コストを重視するという方向に動くという考え方も増えている。特に、流通業ではこうした傾向が強いですね。

 また、電力系でもこれまでは個別のカスタマイズしたシステムを構築した動きがありますが、状況の変化により、共通で利用できる導入型ソリューションが必要になってくるかもしれません。金融機関でも、共同化といった流れがありますし、こうした流れはさらに加速するとみています。従来の発想では成り立たないという世界がやってきています。

 ただ、この考え方が、すべての業種に適用できるとは思っていません。業種環境や業界が置かれた状況をみながら考えていきたいですね。

 

クラウドビジネスは今後の大きな柱になる

――日本ユニシスは、クラウドビジネスをどう位置づけていますか。

黒川社長:東日本大震災以降、クラウドに対する関心が高まっています。当社は、いまから4年前にクラウドビジネスを立ち上げていますが、ここにきて、システム構築とクラウドとの組み合わせが当たり前の提案として社内に定着しようとしています。ここには、仮想化、統合化、自動化という日本ユニシスが蓄積した技術が生かされることになります。

 これまで日本ユニシスは、基幹系システム構築を中心としたビジネスを推進してきましたが、そのまわりに付随しているシステムがある。地銀システムでも100ぐらいの周辺システムがあります。こうしたものがほとんどやれていないのが実態です。ここにもクラウドビジネスの可能性があります。

 また、クラウドは、これまで日本ユニシスと取引がないお客さまに対するドアノッカーとしての役割も果たすことができる。ストレージサービスから取引を開始し、そこから提案の幅を広げていくことになります。

 日本ユニシスでは、クラウドビジネスおよびアウトソーシングビジネスを行う専任組織としてICTサービス事業部を設置しています。この組織は、業種ごとの縦割りではなく、業種横断的に提案ができる組織としているのが特徴であるとともに、プロスペクト(見込み顧客)への提案を基本に攻めています。ほかの事業部が自分のテリトリーにおいてビジネスを展開しているのとは異なり、新たなビジネスチャンスを生むための組織となります。お客さまのIT資産全体を見える化して、クラウドに最適なものを移行するといった提案も進めていくことになります。いずれにしろ、クラウドビジネスは、今後、大きな柱になると考えています。

――クラウドビジネスの事業規模はどれぐらいの成長を考えていますか。

黒川社長:ICTサービス事業全体の売り上げ計画は、2011年度見通しで330億円。そのうち、ICT新サービスの売上高は約21億円です。クラウドビジネスの売上高は、前年に比べて2倍以上の成長となっています。先ほど中期経営計画のなかで、2014年度には新規ビジネスで100億円程度の売上高を見込みたいとしていましたが、このなかにはクラウドを活用したものが多くなると考えています。

 カードモールビジネスなどを展開しているバリューカード事業も、クラウドを活用した新ビジネスのひとつだといえます。当社のICTサービス事業においては、ITサービスマネジメントシステム(ITSMS)の国際規格を満たした高品質なサービスクラウドサービスを提供していること、耐震性および電源系統の安定化・多重化に配慮した、信頼性の高いデータセンターを設置していること、コンサルティングからインフラ構築・運用・保守までのクラウド全般のサービスをワンストップで提供できることが特徴だといえます。

――データセンターへの投資はどう考えていますか。

黒川社長:データセンターへの投資は、直接、当社が自前資産として持って展開するのではなく、クラウドビジネスの拡大にあわせて、インフラの借り増しをしていくことになります。自前でデータセンターを持つということは考えていません。

 東京電力の@東京データセンターの第2センターに入るお客さまはすでに決定していますし、2012年4月に、福井県小浜市に、小浜データセンターを新たに開設します。小浜データセンターは、関西電力が運営するデータセンターで、約2万平方kmの敷地に、1棟あたりの延べ床面積が約1700平方メートルのサーバー棟を、最大で5棟まで増築できます。発電所に隣接する立地を生かした、高信頼度の系統構成による受電が可能で、このデータセンターを通じて、ハウジング、ホスティング、SaaSを提供していきます。

 

2012年は“サービス連鎖”を定着させたい

――日本ユニシスにとって、2012年はどんな1年になりそうですか。

黒川社長:中期経営計画を発表後、グループ会社や事業部別の計画を策定しています。並行して、中期経営計画を実行するための新たな組織設計を行っていくことになります。2月中にはだいたいの形ができあがり、4月からはスムーズに立ち上げていきたい。大きなところではコアビジネスをさらに増やすのが基本です。そのなかで、サービス連鎖といった取り組みをコアビジネスの拡大戦略の重点としていきます。

 これまでの反省として、あるソリューションのシステム構築において、保守サービスが取れていないケースがあった。それがいま、収益の面でダメージのように効いている。しっかりと、アプリケーション保守や、ハードウェア保守といったビジネスが獲得していく必要がある。ハードウェア、ソフトウェアを売ってもしっかり保守契約をとり、そこからソリューションへと発展させるという形が望ましい。そういうような連鎖をやりたい。これにより、採算性も高め、安定収益へとつなげることができると考えています。

 グループの社員全員がそういう視点を持ち、上流のコンサルティングから入らなくても、バリューチェーンの途中からでも保守サービスの案件を獲得していく。サービス連鎖は、2012年には定着させたい取り組みのひとつですね。

 2011年は、日本ユニシスの体制が新たな体制となりました。変化の1年であり、そして、計画にこだわること、売り上げの減少に歯止めをかけたいという1年だった。これをベースに、2012年度からの3カ年の計画を推進していきたい。

 そして、2012年度は3カ年に向けての初年度です。コアビジネスにおいては、ICTの最適化を実現できるNo.1パートナーになることに取り組んでいきたいですし、共創ビジネスや社会基盤ビジネスにおいては、将来に向けた種まきをする1年にしたい。まだ不採算案件の削減という課題もあり、少しめげているところもあるのですが(笑)、ワクワクした気持ちで、成長戦略に取り組めるようにがんばっていきますよ。

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