大河原克行のキーマンウォッチ

「Integrated IT Company」の意味を郡信一郎社長に聞く

「技術」を語り始めたデルが目指す新たなフェーズとは?

技術の強みがDellの強みに

――同時に、Technologyという言葉も積極的に使い始めました。「IT Company」のTはTechnologyですし、別の言い方として、デル会長は、「Technology Company」という表現も使っていました。創業時から、Dellの強みはサプライチェーンであり、「技術」という表現が用いられることはなかったといえます。

 過去のDellは、汎用的な技術を効率的に組み合わせて、さらに、お客さまのもとにいかに効率的に届けるか、という点で強みであったのは確かです。これはこれからも変わらないでしょう。

 しかし、今のDellが違うのは、この強みに加えて、Dell PowerEdge FXに象徴されるように、最先端の技術を活用し、性能や機能において他社製品とは違うものを市場に投入しながらも、接続性におけるオープン性を失わない製品づくりを行っているという点。つまり、技術の強みが、Dellの強みになってきたことは確かです。

 業種を問わずに、あらゆる企業が変化のなかに置かれ、それにあわせてわれわれも変化しなくてはならない。また、顧客のニーズも大きく変化しており、そのニーズを満たすために、Dellに求められているのは、サプライチェーンの強みだけでなく、技術の強みだといえます。だからこそ、「Technology Company」という表現を打ち出したわけです。

 そして、この変化には完成はありません。むしろ、完成したと思った段階で遅れることになるのではないでしょうか。技術は変化するものです。そしてIT業界の変化も激しい。つまり、「IT Company」という表現のなかには、変化する会社である、という意味も込めているといえます。Dellは、いま変革の道のり(ジャーニー)のなかにあり、これは、単年で終わるものではないと、マイケル・デルも語っています。

 そして、マイケル・デルは、方向性、進ちょく、スピードはいいレベルにきているが、満足するところには到達していないということや、顧客が今まで以上にITについて悩んでおり、Dellに相談するユーザーをもっと増やさなくてはならないといったように、市場からの評価をさらに高める取り組みも必要だとしています。

 日本においても、直接販売と間接販売を両輪にするという新たな取り組みは、まだ緒についたばかりですし、日本法人も常に変化していかなくてはならない。

――非上場化のメリットはどこにありますか。

 非上場化は、Dellが変革を実現する上では大きな転換点です。証券市場に対して、3カ月ごとに業績を報告する義務がなくなったこともあり、100%の力を、お客さまに向けて注ぎ込むことができる。経営層は、永続的に勝ち続けるために、変化をどう先取りしていくのか、あるいは、どういう変化を社内で起こすことで、社外の変化に追随していくのかといったことにフォーカスしています。それによって、社内に活気が出てきた。この1年の成果はそこにあると考えています。

――日本法人においても、非上場化の効果は出ていますか。

 それは明確に出ています。最大の効果は意思決定が速くなったということです。日本法人側で意思決定できることも増えています。例えば、パートナービジネスに重点を置くという点において、どんな手を打つのか、どんな組織体制にするのかといったことの多くは、日本法人で決めています。さらに、本社がワールドワイドに定める戦略に継続性、一貫性が出てきた点も大きな変化です。今年初めに言っていたことと、いま言っていることにはまったく変化がない。一貫性のある方針が打ち出されています。

(大河原 克行)