大河原克行のキーマンウォッチ
「クラウドビジネスの成功モデルを確立したい」~富士通マーケティング・生貝健二社長 (クラウドビジネスの立ち上げを急ぎたい)
(2013/8/23 06:00)
クラウドビジネスの立ち上げを急ぎたい
――外からみると、FJMにおけるクラウドビジネスのイメージが弱く感じます。クラウドへの取り組みはどうなりますか。
これまではオンプレミス型のビジネスが主軸になっていますから、確かにそう見えるかもしれません。
ただ、FJMでは、クラウドに焦点を当てて、クラウドビジネスの立ち上げを急ぎたい。プライベートクラウドに関しては、すでに実績も出ていますし、富士通グループのデータセンターや、パートナーのデータセンターを活用した提案も可能になります。
FJMは、自前でデータセンターを持っていませんが、むしろ富士通グループやパートナーのデータセンターを活用することで、柔軟な選択が可能になるという側面もあります。
まずは、FJMが持つ商品、あるいはSE会社が持つ商品から、クラウドビジネスに取り組んできたいと考えています。そして、将来的には、パートナーの商品も含めて取り組んでいくことになるでしょう。
しかし、クラウドビジネスは、素材さえあれば売れるというものではありません。今後1年間に何10本も展開するというのではなく、きちっと売れるものをまずは1本、2本用意していきたい。お客さまの評価を得られる形で成功させていくことが先決。クラウドのビジネスモデルとして成り立つものとはどんなものかといったことを検証しながら、着実に取り組んでいきたいですね。
これまでわれわれがリーチできていないところに対しても、クラウドは重要な役割を果たします。中堅・中小企業においても、コストダウンに対する要求や、標準化に対する要求が強い。また、クラウドとオンプレミスとのハイブリッド利用に対する要求が高まるなど、中堅・中小企業におけるクラウドに対する意識は大きく変わっています。
中でも、パブリッククラウドの導入は、中堅・中小企業が先行するとみています。つまり、富士通グループにおいて、クラウドビジネスを加速するには、中堅・中小企業を担うFJMが最適なポジションにいる。FJMがやらないと、富士通グループのクラウドビジネスはうまくいかないともいえる。
FJMには、パートナーを含めると数千人という営業戦力、機動力、動員力がある。中堅・中小企業に対して、クラウドを通じた強いソリューションを提供できる要としての役割を担うわけです。
クラウドに関しては、数々の取り組みを試行している段階にあります。そのひとつが、Web営業という取り組みです。Web営業では、「GLOVIA smart きらら 会計」および「GLOVIA smart きらら 人事給与」において、興味を持ったユーザーに対して、ユーザー自身が操作を行うオンラインデモを提供するというものです。
SEが行かなくてもデモができる仕組みによって、効率的な営業活動の実現とともに、新規顧客獲得にも効果を発揮しています。今後は、こうした商談スタイルをさらに仕掛けていきたい。きららも、計画値に対してはまだまだ。きららで成功モデルをひとつ作って、実証したいと思っています。
――ちなみに、FJMが自前のデータセンターを持つ可能性はありますか。
自前で所有することは、現時点では考えていません。富士通グループという観点から設備投資を考えると、FJMが、あえてそこに投資をする意味がないと考えているからです。自前で持っていないことは、商談の際にはマイナスにはなりません。