Infostand海外ITトピックス
647の政府システムがダウン 韓国データセンター火災の衝撃
2025年10月6日 11:26
繰り返される教訓の無視
韓国にとって、この種の災害は初めてではない。
2023年11月には全国の地方行政システム「セオル地方行政情報システム」とGovernment24が停止し、行政サービスが麻痺した。2022年10月にはKakaoのデータセンター火災でメッセンジャーや決済サービスが停止した。
高麗大学のイ・ソンヨプ教授は「このような混乱は国家機関では決して起こってはならない。リアルタイム同期および復旧システムを早急に実装する必要がある」と指摘し、「政府はより高いレベルの緊急時対応計画の必要性を認識すべきだったが、自己満足していたようだ」とReutersにコメントしている。
当局は2023年の障害後、多地域同時運用システムの開発を進めてきたが、現在も一部のシステムでしか試験運用されていない。高麗大学のイム・ジョンイン教授は「長期化する復旧は重大な国家安全保障上の脆弱性を浮き彫りにしている。事故発生時に他の場所から即座に引き継げる二重運用システムが緊急に必要だ」と東亜日報に強調している。
今回の火災は、韓国政府が進める大規模エネルギー貯蔵システム(ESS)拡大計画にも影を落とす。The Korea Heraldによると、韓国は再生可能エネルギー目標の引き上げに伴い、2038年までに約23ギガワットのESS容量が必要と見込んでいる。だが、UPSもESSも火災リスクが高いニッケル・マンガン・コバルトセルを使用している。バッテリー業界関係者は「ESSイニシアチブは重要だが、政府は国家ITインフラの構造的脆弱性にも対処すべきだ」と指摘している。
バッテリー火災が国家的システム障害につながった今回の事件は、重要インフラにおける冗長性設計の重要性を改めて浮き彫りにしたと言える。