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中国版「Stargate Project」が本格始動 一方でデータセンターの8割が稼働していないとの指摘も
2025年9月29日 11:19
米国のAIインフラ計画「Stargate Project」が新たに5つの大型AIデータセンター建設を発表したのと時を同じくして、中国でも「Stargate」にならった国家規模のプロジェクトが報じられた。米中間では最先端AIチップの禁輸措置などを巡って緊張が続いているが、中国のAI覇権への意欲は衰えていない。しかし、その道のりは平坦ではない。
長江の水田がAIデータセンター群に
9月21日付のFinancial Timesによると、中国東部・安徽省蕪湖市で「Zhonghua Data Island(中華データアイランド)」と呼ばれる大規模データセンターが建設中だ。長江に浮かぶ760エーカー(約3平方キロメートル)の島の水田をデータセンターに転用している。
ここには、Huawei、China Telecom(中国電信)、China Mobile(中国移動)、China Unicom(中国聯通)の4社がそれぞれ新たなデータセンターを建設しており、Financial Timesは衛星写真で数年前の状況と比較しながら、田園地帯が変わりつつある様子を伝えている。
計画では、東沿岸部に近い蕪湖市の施設は上海、杭州、南京、蘇州など長江デルタの豊かな大都市を対象に計算能力を提供する予定だ。同市内にはこれまでに15社がデータセンターを建設しており、総投資額は2700億元(約378億ドル)に達するという。
プロジェクトに関わっている現地のサプライヤーの1人は「中国版のStargateを建設しているのだ」とFinancial Timesに語っている。
本家のStargate Projectが総額5000億ドルの投資を掲げているのに比べると、中国版はいかにも小規模のように見えるが、蕪湖市の施設は全体計画の一角に過ぎない。
Financial Timesによると、北部では内モンゴル自治区のウランチャブ(烏蘭察布)や、貴州省の貴陽、甘粛省の慶陽などに施設が置かれ、それぞれ北京・天津、広州、成都・重慶などの都市に計算リソースを提供する予定。国土全体に広がるデータセンターネットワークの構築だ。