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「スーパーインテリジェンス」の実現を目指す Metaの新しい賭け
2025年7月7日 12:04
生成AIで後塵を拝する
社内メモには「AIの進歩のペースが加速するにつれ、スーパーインテリジェンスの開発が視野に入ってきた。これは人類にとって新しい時代の幕開けになると信じており、Metaはその道を先導するために必要なことを全力で行う」と記されている。
なお、スーパーインテリジェンスは、「人間と同等の能力」であるAGIをさらに上回る能力を持つAIを表すが、開発を進める方向は同じとなる。この言葉には「AGIの実現」を使命とする"OpenAIを超える"との意味もありそうだ。
Metaは2013年に、FAIRを設立してAIへの本格的な取り組みを開始した。OpenAI設立の2年前だ。AI研究の大物Yann LeCun氏を招き、「世界最高レベルの研究機関」を目指したこのラボは、認識システム「DeepFace」や機械学習フレームワーク「PyTorch」などの成果を挙げた。しかし、ここ数年の生成AIブームでは後れを取った。
そこでZuckerberg氏は2024年はじめ、AGIの構築に全社を挙げて取り組む方針を打ち出し、FAIRと製品部門を統合した。MSLの発足は、その方針をさらに鮮明にした動きといえる。
ただしチーフサイエンティストのLeCun氏は、「現行のLLM(大規模言語モデル)アーキテクチャでは物理世界の理解が不十分であり、AGIにはほど遠い」と過去に何度も発言しており、Metaがどのようにスーパーインテリジェンスを目指すのかは不明な部分がある。