Infostand海外ITトピックス

「データ×AIエージェント」戦略を加速 Salesforceが80億ドルでInformaticaを買収

Salesforceの狙い

 「両社の統合によって、業界で最も完全なエージェント対応データプラットフォームを創造する」。Salesforceの共同創業者兼CEOのMarc Benioff氏はプレスリリースで買収の狙いをこう説明している。

 Salesforceは昨年9月、AIエージェント「Agentforce」をリリースして展開中だ。Salesforceプラットフォームと統合され、企業のナレッジ、CRMデータ、外部データなどを活用できる自律型エージェントだが、その開発には基盤となる高品質なデータが必要となる。

 そしてInformaticaは、IDMC(Intelligent Data Management Cloud)製品群にデータカタログ、統合、ガバナンス、品質管理、プライバシー管理、マスターデータ管理(MDM)などの機能を備え、AIエージェントの基盤となる“整ったデータ”を提供できる。

 Salesforceは生成AIで出遅れてAIエージェントで巻き返しを図っており、Agentforceの強化という面から、この買収は解釈できる。

 アナリストの見方はどうだろう。

 BARCのリサーチ担当バイスプレジデントのKevin Petrie氏は、SalesforceはCRMとMuleSoftによりアプリケーション領域に投資しており、Informaticaの獲得でデータ領域を補完できる、とVenture Beatに述べている。またDeutsche Bankのアナリスト、Brad Zelnick氏も「SalesforceのAIが生成するデータの有用性は、適切なガバナンスとデータの管理・コンテキスト能力がなければ限定的になるが、InformaticaのIDMCはこの点で非常に優れている」と買収効果を評価する。

 一方、Fortuneは「SalesforceはAgentforceをAIエージェントプラットフォームとして成功させるための内部リソースを持っていないことを示している」とのBairdのマネージングディレクターTed Mortonson氏のコメントを紹介して、厳しい見方も示している。