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「データ×AIエージェント」戦略を加速 Salesforceが80億ドルでInformaticaを買収

業務アプリケーションの勢力図は

 Agentforceの現状について、Wall Street Journalは「ローンチから3000件以上の有料契約を獲得したと説明されているが、実際に顧客がいくら払っているかは不明だ」と伝えている。Fortuneは「劇的な転換には至っていない」と述べ、Market Watchは「契約数は小規模」(Bernstein Researchのアナリスト、Mark Moerdler氏)との見解を伝えている。

 また、Salesforceの積極的な買収戦略には以前から投資家の懸念があった。同社は過去19年間で70社以上を買収してきた。2023年には、こうした姿勢に対してElliott Managementなどアクティビスト投資家の圧力が高まり、収益性向上と株主還元を優先に切り替えたこともあった。

 Mortonson氏は、「アクティビストたちが去っていき、いまBenioff氏は以前とまったく同じことをやっている」と批判している。

 競合各社もそれぞれ活発に動いている。SAPは2月に「SAP Business Data Platform」を発表してデータ基盤強化を打ち出した。ServiceNowも5月に「ServiceNow CRM」でCRM市場に本格参入した。

 Forresterのアナリスト、Noel Yuhannna氏は「Salesforceは、買収でモダンなデータ管理の全ての面で向上する」(Venture Beat)、Amalgam InsightsのHyoun Park氏は「ServiceNowやBoomiなどとの競合において強化できる」(同)と分析している。

 買収完了は当局の承認をへて2026年前半を予定している。