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「あなたが配達人」 Amazonの配達クラウドソース
(2015/6/22 11:14)
「配達のクラウドソースは不可避」
配送をクラウドソーシングするというアイデア自体は、新しいものではない。WSJやFortuneは、世界最大の小売業Wal-Martが2013年にやはり配達のクラウドソースを試みかけたことを紹介する。Wal-Martは、店舗にいる顧客が帰宅途中に立ち寄り配送することを考えた。だが、配送業界に挑戦するような大規模な動きはこれまでのところ見られないという。
On My Way実現のための障害としては、まずは法的な問題がある。商品の紛失、ダメージがあった場合の責任を誰が負うのかなどだ。Fortuneも「盗難、損傷、不注意による損傷を防止するための説明責任と対策の実装」や、クラウドソースした人がなんらかの理由で配達できなかった偶発事故対策や損害賠償の用意が必要だと指摘する。これについてBitcoinの情報サイトInside Bitcoinsは、Bitcoinと同じように取引すべてを記録する「ブロックチェイン」を導入して、倉庫から購入者までの追跡を行ってはどうかと提案している。
Fortuneがもう1つ指摘するのは、プライバシーだ。Amazonで買った商品を、隣人が配達しに来たら、あまりいい気分ではないのではないか、あるいは全く知らない人であっても、ドアを開けて普通の人が商品を手に立っていると居心地が悪いかもしれない。実際、物流大手のFedExの幹部は「利用者は制服を着て身分証を提示する配達人を信頼するという調査はいくつもある」として、配達のクラウドソースが自社事業に打撃を与えることはないとの見解を示した。
またWSJは、On My Way実現に不可欠となる受け取りポイントについての課題も指摘する。実店舗に置かせてもらう場合、これら店舗が、自分たちの売り上げを奪ってきたライバルAmazonに協力するのかが疑問だというのだ。「Kindle」の不売が起こったように、Amazonに反感を抱く小売業は多い。WSJは小売店舗のほか、配送業者が持つスペースを借りる可能性も指摘しているが、On My Wayは配送業界も敵に回すアイデアだけに簡単にはいかないかもしれない。
物流コンサルタントMWPVL InternationalのMarc Wulfraat氏はWSJに対し、「Amazonのアイデアには理にかなっている点があるが、うまくいかなくなる可能性がたくさんある」との見方を示している。
だが、Fortuneは、いつかは実現するのではないかと見る。Zipmentsというこの分野のベンチャーは、配達側の身元調査をして、事前に顧客に配達者の身分を証明する情報を提供するほか、配達者に直接コンタクトをとることも可能にしているという。より自社の従業員に近い保証を与える仕組みと言える。
「Amazonの計画はリスキーなアイデアに見える。だが、個人に関するリスク、補償損失を軽減する方法を誰か見つけ出せば、配達のクラウドソースが現実のものになるのは不可避と言える」とFortuneは述べている。