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OpenStackに賭ける 「Helion」でクラウドを攻略するHP

 Hewlett-Packard(HP) がクラウドの新しいイニシアティブを発表した。「HP Helion」の名称で、オープンソースのクラウド・プラットフォームOpenStackをベースとするソリューション、データセンターを展開し、今後2年間で10億ドルをクラウド投資するという。ソフトメーカー、ハードメーカー、ソリューションベンダーなど、次々にクラウド戦略を宣言する中、HPもクラウドを強化する。

HPのクラウド統合ポートフォリオ「Helion」

 Helionは、陽電荷を持つヘリウムイオンを指す化学用語だ。その語源はギリシャ神話の太陽神「ヘリオス」で、HPは「さまざまなクラウドを太陽のように照らし、束ねる」という意味を込めたという。自社データセンターを確保したい企業のハイブリッドクラウドのニーズを見込む。

 HPはこれまでもOpenStackベースのプラットフォーム「HP Cloud OS」を採用した「HP CloudSystem」として提供してきたが、既存のクラウド製品に、新しいOpenStackベースの製品を組み合わせ、HP Helionの名で統合ポートフォリオとする。

 HP Helionの製品・サービス群の中には、次のようなものが含まれる。

 (1)無償提供するプラットフォームの「HP Helion OpenStack Community edition」、(2)VMWareのオープンソースPaaSプラットフォーム「Cloud Foundry」をベースとするPaaSプラットフォーム「HP Helion Development Platform-A Platform as a Service 」、(3)顧客サポートの「HP Helion OpenStack Professional Services」、(4)HPソリューションのユーザーを特許・著作権訴訟からユーザーを守るプログラム「HP’s OpenStack Technology Indemnification Program」。

 Helion OpenStack Community editionは直ちに提供を開始しており、テストや開発に活用されることを期待している。商用版は独自のOpenStackディストリビューションで6月に提供開始する予定。管理レイヤーを追加したほか、HPのハードウェアやソフトウェアとの統合などが強化されているという。また、今後18カ月のうちに、世界で20のOpenStackベースのデータセンターを開設。さらに従来のクラウドパートナーを通じたクラウドサービスの再販も行う予定だ。

(行宮翔太=Infostand)