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OpenStackに賭ける 「Helion」でクラウドを攻略するHP

後発のHPクラウド

 では、HP Helionの課題は何だろう。Wall Street Journalは、実績やサポート体制への不安を挙げる。廃棄物利用エネルギーインフラのCovanta HoldingのCEO、Stuart Kippelman氏は同紙に対し、HPのサポート部門が縮小しており、クラウドのサポートとパフォーマンスが心配だと述べている。「HPは世界最高のデータセンターを運営できるかもしれないが、必要なときに電話回答に2時間もかかるようでは意味がない」(Kippelman氏)。

 また、HPが世界トップの売り上げを誇ったIT企業だとしても、クラウドでは、Amazon AWSやGoogleが圧倒的で、その中では後発組にすぎない。頼りは独自のOpenStackディストリビューションだ。

 HPは、2012年4月のOpenStack Foundation設立段階から、プラチナメンバーとして参加。企業のニーズに合わせたソリューションの開発で中心的な役割を果たしてきたと強調している。独自ディストリビューションは、そのノウハウをつぎ込んだものだという。

 しかし、一方で独自ディストリビューションには、サービスベンダー間の互換性の問題がつきまとう。Gigaomは、ディストリビューションの分化への懸念に言及している。「さまざまなベンダーがコアコードで新技術を取り入れた結果、またしてもベンダーロックインの非互換の問題に直面するのではないか――」。

 これについてInterarbor GroupのアナリストDana Gardner氏は、あまり心配しなくてよいだろうとコメントしている。「どのベンダーもコードベースでの差別化をしたいとは考えていない。サービス、サポート、サードパーティ製品との統合を競っているのだ」。

 またGardner氏はHPの“敵”はOpenStackのベンダーではないとも指摘して、次のように述べている。「HPが、RackspaceやRed Hat、IBMなどに顧客を奪われるというのは、たいして心配ではない。Amazonの巨大なパブリッククラウドに流れてゆくことの方がより懸念されるのだ」。

行宮翔太=Infostand