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レッドハットが国内AIパートナー戦略を説明――NECのAIエージェントやSB C&Sのハンズオン支援なども紹介
2026年4月16日 06:15
レッドハット株式会社は15日、AIにおける国内のパートナービジネス戦略についての記者説明会を開催した。
冒頭でレッドハットの三浦美穂氏(代表取締役社長)は、「Red Hatの中でも日本はパートナーとのビジネスの比率が一番高い国」であると紹介した。そして「Red HatはLLMなどのAIそのものを作っているわけではなく、プラットフォームを整えて提供するプラットフォーム屋。そのため、お客さまが使いやすい包括的なソリューションを提供していただくパートナーと、全国のお客さまにお届けするためのリセラーやディストリビューターの、2つの面で支援いただいている」と説明した。
記者説明会には、その2種類のパートナーの代表として、SIerの日本電気株式会社と、ディストリビューターのSB C&S株式会社が登壇した。
AIでもパートナーシップにより包括的ソリューションと広範囲へのリーチを強化
「レッドハットの成長の原動力はもともと、レッドハットだけの力ではない。当社の世界標準のテクノロジーやバックアップ体制と、パートナーの実行力と顧客基盤との融合により、実践的な提案をしていただいていることにある」と、レッドハット株式会社の鳥羽謙一氏(OEM & Individual Hardware Vendor アジア太平洋地域統括 統括本部長)も語った。
「これはAI時代でも変わらない」と鳥羽氏。レッドハットはあくまで“プラットフォーム屋”としてRed Hat AI EnterpriseやRed Hat OpenShift、Red Hat OpenShift AIを提供。それをもとにパートナーが、「包括的なソリューションの提供」や、「より広範囲な顧客セグメントへのリーチ」を実現する。
「それによって、AIを実験ではなく実運用できるようにしていく」と鳥羽氏は語った。
「包括的なソリューション提供」としては、パートナー独自の個別に最適化された環境を提供する。「日本語特化のAIモデル、業界特化のAIエージェント、フィジカルAI、SI、AIインテグレーション、GPUaaS/LLMaaS、ワンストップのサービスを提供していきたい。それによりセキュリティやアジリティ、安定稼働、デジタル主権を包括した環境でAIの運用を可能にする」と鳥羽氏は説明した。
「より広範囲な顧客セグメントへのリーチ」としては、「あらゆる業種や規模の多くのユーザーがいまAIを使おうとしている。そうしたお客さまにセキュリティやアジリティ、安定稼働を備えたAI環境をお届けしたい。全国のリセラーとの協業のために、その核となるディストリビューターと一緒に、特にコマーシャル市場に特化してプログラムと投資を強化していく」と鳥羽氏は語った。
その具体策としては、リベート引き上げなどの「インセンティブ強化」、技術支援リソース追加などの「技術支援リソース強化」、見積もりプロセスの効率化などの「トランザクション迅速化」の3つを鳥羽氏は挙げた。
最後に鳥羽氏は「レッドハットのAIのビジョンはシンプル」だとして、「PoCからAI本番運用への移行支援をあらゆるお客さまへ」という言葉を掲げ、あらためてAIを実験で終わらせず実運用で使われるようにすると語った。
NEC:AIソリューションのプラットフォームを、Red Hat製品をベースに共通化
NECの吉川彰一氏(AIテクノロジーサービス事業部門 AIプラットフォームサービス統括部 シニアディレクター)は、これまでのNECとレッドハットとのパートナーシップや、NECのエージェンティックAIソリューションについて語った。
NECは1999年以来、25年以上レッドハットと協業を続けている。その中のハイライトとして吉川氏は、2016年のOpenShift Container Platformの国内初OEM開始、2022年のグローバルアライアンス強化、2025年のAI領域協業拡大の3つを取り上げた。
OpenShiftについては、成田空港と羽田空港の顔認証搭乗手続き「Face Express」をOpenShiftが支えていることを紹介した。
グローバルアライアンス強化については、共同CoE(Center of Excellence)だけでなく、共同技術開発にも踏み込み、Red Hatの基盤ソフトウェアとNECのソリューションを組み合わせたマーケティング活動を拡大していると吉川氏は語った。
AI領域協業拡大については、共同技術支援体制を強化し、エンタープライズ向けAIソリューションの拡大を推進することを発表した。
さて、AIの世界は、画像認識などのAIから対話型の生成AI、さらにAIが自律的に業務を推進するAIエージェントに進んでいる。
NECではこのAIエージェントによる業務プロセス変革ソリューションを、業務分野別に展開している。そのうち3つのソリューションを吉川氏は紹介した。
1つめは、マーケティングの施策立案のための「BestMove」だ。AIが顧客分析をし、人間といっしょにいくつかの施策を立案し、さらに効果予測までを支援する。これによりSNSでのショート動画広告で認知率が125%増加した事例があるという。
2つめは、サプライチェーンでの調達交渉だ。AIの自動交渉により双方にとって最適な条件で交渉を成立させる。グループ内の実証実験では、自動合意達成率が95%で、交渉時間も最大2日からベストケースで80秒になった事例があるという。
3つめは、顧客提案の「NEC Document Automation - for Proposals」だ。AIが提案書を作るためのデータを集めて、提案書の骨子とディスカッションシートを自動作成する。社内での実証実験では、提案書の作成と準備にかかる工数の3割を削減した事例があるという。
こうしたAIソリューションで、顧客企業固有の知識などを取り込んでシステムを作るには、顧客ごとにプラットフォームを作っていく必要がある。またそのときに、オンプレミスやクラウドといった顧客企業の要望の違いもある。
「それらを一つ一つ作っていたのがいままでのSIだが、それをできるだけプラットフォーム化して、どのようなお客さまにも同じような環境を提供できるようにしていく」と、共通のエージェントプラットフォームの必要性を吉川氏は述べた。そして、その基礎となる部分をRed Hat OpenShift AIやRHEL AIといったレッドハット製品で共通化し、NECはその上の認証認可や運用管理といった部分を共通化していくと語った。
さらに吉川氏はNECの「BluStellar Scenario」についても触れた。「お客さまの課題から戦略コンサルとして入ってシナリオを作り、プラットフォームやプロダクト&サービスと組み合わせて、一気通貫で提供する」ものだという。「レッドハットのプラットフォームもこのシナリオに組み込んでお客さまにお届けしていく」と同氏は語った。
SB C&S:AIインフラのPoC環境で、Red Hat AIインフラの構築ハンズオン
SB C&Sの永谷博規氏(取締役 専務執行役員 兼 ICT事業本部長)は、ディストリビューターの立場からレッドハットとの協業について語った。
同社ではValue Added Distributorとして、他社の差別化要素として、多くのエンジニアをそろえてメーカーとともに活動し、レッドハットを始めとするベンダー資格などを取得しているという。
永谷氏は「すべてがAIに向かっている世の中」を背景に、「従来はサイロ化された基盤でそれぞれに最適化されたアプリケーションを作っていたが、次世代としてはクラウドネイティブやハイブリッドで開発の柔軟性やスピードが求められる。そこで基盤変革をレッドハットとともにいかに進めるかが大事だと思う」と語った。
この基盤として、GPUサーバーを中心に、ストレージやネットワーク、コンテナ基盤などについて、SB C&Sではさまざまなメーカーの製品をワンストップで扱えていると永谷氏は言い、その中でRed Hat AIを扱っていることを紹介した。
SB C&Sはレッドハットと2007年から協業関係にあり、技術・販売において専任者を設けている。その中で、AIインフラのPoC環境を提供する「C&S AI INNOVATION FACTORY(C&S AIF)」を、2025年7月から開設していることも永谷氏は紹介した。この中で、Red Hat AIをデプロイするAIインフラの構築ハンズオンなども提供していく。
「C&S AIFのハンズオンメニューをローンチしてから、大変評判がよく、延べで参加パートナーが約30社、参加者は約420名となっている」と永谷氏は語った。


























