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Microsoftにも調査 ビッグテックの独禁法訴訟が全面展開

全ビッグテックに独禁法訴訟

 ここ数年来、独禁法規制当局であるFTCと司法省はビッグテックに対して厳しい姿勢をとってきた。

 2020年10月、司法省はGoogleが検索サービスと検索広告市場における独占的な地位を不法に維持したとして提訴した。これは一連の大型独禁法訴訟の最初のもので、第1次Trump政権の終わり近くのことだった。

 その判決は今年8月に下され、判事は「Googleは独占企業であり、その地位を維持するために独占的行動を取ってきた」と明言した。そして11月19日、司法省は、Goggleに対してChromeブラウザーの分離(売却)や競合他社への検索データのアクセス提供などを命じる是正案を裁判所に提出した。今後の判事の判断が注目されている。

 他のビッグテックも独禁法訴訟に直面している。2023年9月には、FTCが、会員プログラムや検索アルゴリズムの操作を通じて競争を阻害しているとしてAmazonを提訴。2024年3月には、司法省が、iPhoneエコシステムの閉鎖性が競争を阻害しているとしてAppleを提訴した。

 Metaも、FTCが2020年12月に起こした独禁法訴訟が動き出している。WhatsAppの買収によるソーシャルメディア市場で競争を阻害したというもので、Meta側は棄却を求めていたが、11月13日、判事はこれを退けて来年4月に裁判を再開することを決めた。

 こうした厳しい態度には、“GAFAの天敵”とも呼ばれたFTCのLina Khan委員長や、ビッグテック批判で知られたJonathan Kanter司法省反トラスト局長の強い意思があったと言われている。

 6月5日付のNew York Timesは、FTCと司法省が、Microsoft、OpenAI、NVIDIAの3社に対して、手分けしながら独禁法の調査を進めることで合意したと伝えている。AI関連の独占に注目したもので、FTCがMicrosoftをOpenAIを、司法省がNVIDIAを担当するとのことだった。

 両氏は来年の政権交代に合わせての退任が確実視されている。今回のMicrosoft調査開始には、Khan委員長の最後の執念のようなものが感じられる。