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活発化するウェアラブルAIデバイス “AIを持った次のiPhone”狙う

「ベンチャーキャピタルにとっては意味をなす」

 ウェアラブルAIデバイスのコンセプトの素晴らしさは、レビュワーたちも認めている。Ai Pinのほかにも、このコンセプトを突き進んでいるスタートアップがいる。

 2020年設立のRabbitは、今年1月のCESで「Rabbit R1」を発表した。音声コマンドで操作するAIエージェントデバイスで、既に3月に出荷を開始している。同社は中国出身の起業家Jesse Lyu氏が設立した会社で、Khosla Venturesなどから総額3000万ドルの資金を調達した。

 Rabbit R1は縦横約8センチ、重さ115グラムと、Ai Pinよりかなり大きめだが、2.88インチのTFTタッチ画面やスクロールホイールを搭載して、よりスマートフォンに近い操作ができる。ユーザーの意図を理解してタスクを実行する「Large Action Model(LAM)」プラットフォームで動作する。価格は199ドルで、サブスクはない。

 Marques Brownlee氏はこちらもレビューしており、Ai Pinより反応が優れていると評価する一方、情報が不正確なことがある、バッテリー持続時間が短い、アラームやタイマーなど基本的な機能がない、といったことをマイナス点として指摘している。

 両社ともAIブームに合わせて新しいデバイスカテゴリの創出に挑んでいるが、コンシューマ目線では、投資家に比べて、よい評価を得られていないようだ。

 Ars Technicaは「Ai Pinは、ベンチャーキャピタルにとってのみ意味をなしている」と言う。BloombergのAppleウオッチャー、Mark Gurman氏は、Ai Pinを使ってみた結果として「スマホの置き換えとしては将来性を感じない」と述べている。またTom's guideは「スマホでできることを、別のデバイスにする必要があるのか」とポジショニングの弱さを指摘する。

 ウェアラブルAIデバイスは、大手でもMetaとRay-Banが共同開発したスマートグラス(299ドル)のようなものもあり、“AIを持った次のiPhone”を狙って競争が繰り広げられている。

 そして本家iPhoneのAppleは、6月10日から開催する「Worldwide Developers Conference」で、AIへの対応を明らかにする見込みだ。