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活発化するウェアラブルAIデバイス “AIを持った次のiPhone”狙う

 生成AIとウェアラブルを組み合わせた新しいデバイスカテゴリが活発になってきた。衣服に装着できる小型のデバイスで、生成AI機能を売りにするものだ。日常生活の隅々にAIエージェントを浸透させるのが目標だが、思いのほか苦戦するケースもあるようだ。

画面を持たないウェアラブルAIデバイス

 2018年に設立されたスタートアップのHumane AIは、5年間の開発を経て2023年11月に最初の製品「Ai Pin」を発表した。「人とデバイスとのやりとりを再考する」というのがうたい文句だ。

 キーボードなどを持たず、カメラで周囲を認識。ユーザーは、ジェスチャーや音声、またタッチで操作する。画面を持たないのが特徴で、「Laser Ink Display」と呼ぶプロジェクター機能を採用した。手のひらを追跡して、テキスト、グラフィックスなどを映し出す。

 システムには自社開発の「Cosmos」という「AI OS」を搭載し、チップは「Qualcomm AI Engine」内蔵のSnapdragonを採用した。Microsoft、OpenAIとの提携によって、AIモデルを活用する。本体サイズは約4.8×4.5センチで重さ約34グラム。磁石やクリップで衣服にとめることができ、約20グラムのバッテリーブースターもオプションで用意されている。

 機能面では、AIを使ったメッセージ作成、メールボックスから重要なものを整理する「Catch Me Up」、翻訳などの機能に加え、音楽や写真処理もAIを使う。何から何までAIだ。

 価格は本体が699ドル。米国では月額24ドルのサブスクリプションでT-Mobileのネットワークでの通話、データ通信が利用できる。

 プレスリリースには、OpenAIのCEO、Sam Altman氏や、MicrosoftのAIプラットフォーム担当コーポレートバイスプレジデントのEric Boyd氏などが推薦の言葉を寄せている。