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注目のスタートアップのCEO辞任 画像生成AIのStability AIの舞台裏は

華やかなAIスタートアップの内情は混乱状態

 Forbesは以前からStability AIについて、疑惑や内部の不協和音を報じていた。2023年6月にはMostaque氏の学歴詐称や、投資家に対する説明への疑惑を伝えている。

 同氏はオックスフォード大出身だが、学位は本人の言う修士ではなく学士だった、躍進の裏で誇張した話で資金集めに奔走していたといった内容だ。

 例えば、AWSと戦略的パートナーシップを結んで「80%割引料金」で、スーパーコンピューターを購入したと出資者に説明していたが、実際には通常の取引だったこと。そして、出資を受ける前にはAWSへの数百万ドルもの支払いが滞っていたことなどを伝えている。

 また投資家向けプレゼン資料では、UNESCO、OECD、WHO、世銀などとのパートナーシップをうたっていたが、そうした事実はなかったことを各機関に確認したという。

 さらに同社では賃金の遅延や未払いが起こり、2022年には税務当局から資産の差し押さえ通告まで受けていたと暴露している。

 元従業員の一人は「彼(Mostaque氏)が得意なのは、他人の仕事に自分の名前を載せたり、本当かどうなのか確かめようのない話をすることだ」と辛らつな評価をしている。

 そして今年3月20日、コア技術を担ってきた3人の研究者がStability AIを退社したとForbesは報じた。Stable Diffusionの元々の研究はドイツの2つの大学のプロジェクトだったが、そこから同社に参加した5人のうち3人が去ったという。

 Forbesによると、それまでにも、製品担当、エンジニアリング担当、研究開発担当バイスプレジデントらの研究者や幹部が何人も退社していた。