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“世界初の商用海底データセンター” 中国沖合にモジュール設置

海底データセンターのメリットは消費電力効率、ユーザーの近く

 海の底にデータセンターを構築するというアイデアはそれほど新しいものではない。最も知られているのがMicrosoftの「Project Natick」だ。同社は2015年、太平洋で4カ月近くをかけて海底データセンターのコンセプト実証実験を行った。

 さらに2018年には、第2フェイズを開始。英スコットランド沖でデータセンター構築プロジェクトを展開した。海面下117フィート(約36メートル)に、864台のサーバーで構成されるデータセンターを沈めて運用。2年後の2020年に無事に引き上げ、海底データセンターが実現可能であることを示した。

 また、海底データセンターのベンチャーSubsea Cloudは、メキシコ湾、シンガポールの沿岸に海底データセンターを構築する計画を明らかにしている。

 海底にデータセンターを構築するメリットはいくつかある。まず冷却にかかるコストを削減できること。海底は水温が低く、データセンターの熱問題を緩和できる。また、海洋環境は、風力、波力、太陽光など持続可能なエネルギーへのアクセスも優れる。

 Hainan Undersea Data Centerでは100モジュールを設置し、年間で1億2200万kWhの電力消費量、10万5000トンの水を削減できるという。パイロットのゼネラルマネージャー、Pu Ding氏は、同程度の規模の陸上のデータセンターと比較すると「40~60%電力効率が向上する」と述べている。

 MicrosoftはProject Natick発表時、ユーザーが近いというメリットも挙げていた。「世界の人口の半数以上が海岸から120マイル(約193km)以内に住んでおり、近くに設置することでデータの移動距離が縮まる」(Microsoftのプレスリリース)というものだ。