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“世界初の商用海底データセンター” 中国沖合にモジュール設置

最大の課題はメンテナンス?

 ストレージや処理能力がいくらあっても追いつかない時代、海底データセンターは解決策のように見える。

 しかし、Microsoftは第2フェイズ終了後、進捗を報告していない。プロジェクトサイトの更新は2020年7月9日が最後で「データのレビュー中だが、信頼性、コミュニティサービス、リサイクルについて確認している」となっている。第2フェイズの目的は商用化のためのロジスティクスと経済性の評価だった。

 データセンター専門メディアのData Center Knowledgeは、海底データセンターが離陸(テイクオフ)しない理由として「ハードウェアメンテナンス」「ネットワークの接続」「物理的な安全性」「エネルギーの調達」と4つを指摘している。

 なかでも最大の課題とするのがハードウェアメンテナンスだ。「サーバーやディスクドライブの交換が必要になった場合、水中に人を送って交換作業をするか、データセンターを水面まで運ぶか。陸上のデータセンターに比べるとはるかに困難だ」と指摘する。解決策としてロボットによる自動化が考えられるが、この技術の成熟には時間がかかるとみる。

 CCTVは海底データセンターの課題として、防水密封と海水腐食防止を挙げながら、今回のプロジェクトでは惰性ガス(不活性ガス)などの気体を充填するといった対策を講じていることを紹介している。

 メンテナンスについては、リモートメンテナンスで行い、設計寿命は25年としている。沿岸に設置した制御室から確認し、デジタルツインシステムを利用して自動巡回するという。

 Hainan Undersea Data Centerは2025年第2四半期の完成を見込む。Tom's Hardwareは、中国では海南島沖以外にも、長江デルタ、珠江デルタなどで海底データセンター構築の動きがあると紹介している。