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著作権侵害とプライバシー侵害 ChatGPTの訓練データめぐり2訴訟

「ソーシャルメディアからの個人情報の収集にガードレールを」

 プライバシー侵害訴訟は同じく6月28日、十数人の匿名の原告が、個人情報を含むデータがLLMの訓練のため不正に使用されたとしてOpenAIを訴えた。

 訴状では、OpenAIが「大量の個人データをインターネットから密かに収集する戦略」で、一般消費者のプライバシーを侵害し、不当な利益をあげていると主張。収集したデータには、氏名、連絡先、メールアドレス、支払い情報、ソーシャルメディア情報、チャットログデータなどが含まれる、としている。

 OpenAIの行為は、電気通信プライバシー法(ECPA)、カリフォルニア州プライバシー侵害法(CIPA)、コンピュータ詐欺・不正利用防止法(CFAA)などに違反しているとしており、同社の製品への商業的アクセスおよび開発の一時的な凍結、損害賠償などを求めている。被害額は30億ドルにのぼる可能性があるという。

 「ChatGPTを含む10億ドル規模のAIビジネスは、インターネットユーザーの個人情報を収集し、収益化することで成り立っており、被告は個人情報を盗むことで不当な利益を得ている。したがって、原告は、個人情報の返還、および・または、盗まれたデータの価値に応じた損害賠償、および・または、被告が得た利益の分配、を請求する権利を有する」と訴状は述べている。

 原告側弁護士のClarkson, the law firmは、データ漏洩などの大規模なクラスアクションを手がけたことでも知られる。マネージングパートナーのRyan Clarkson氏は、一般ユーザーの個人データが意図せずLLMに利用されているとした上で、AIアルゴリズムのトレーニング方法や、データが使用された際の補償方法について、裁判所に何らかのガードレールを設けてもらいたい、とWashington Postにコメントしている。