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Uberがフルクラウドへ Oracleのクラウド事業が躍進中

後発ながら「正しい動き」のOracle

 Oracleは過去にクラウドで大きく出遅れた。当初、CEOを勤めていた共同創業者のLarry Ellison氏(現CTO)がクラウドに否定的だったこともあり、パブリッククラウドのOracle Cloudを発表したのは2011年になってからだった。だが近年、“ビッグ3”を追って急成長している。

 2022年11月末締めの2023会計年第2四半期の決算では、売上高は123億ドル、前年同期比18%増となったが、特にクラウド事業(IaaSとSaaS)は前年同期比43%増の38億ドルを売り上げるなど好調だ。IaaSだけ見ると、前年同期比53%増加した。ライバルが低迷する中で、成長率はずば抜けている。

 ベテラン業界アナリストのPatrick Moorhead氏は、Forbesへの寄稿で「Oracle Cloudは2022年、正しい動きをした」と言う。国防総省のクラウド化計画「JWCC(Joint Warfighter Cloud Capability)」で、OracleがAWS、Microsoft Azure、Google Cloudとともに受注したことを紹介しながら、「ハイパースケーラーとして信頼できる場であると認められた」と評価する。OCIの顧客には、ほかに、AT&T、Tata Motors、Subaruなども名を連ねる。

 また、Oracleが顧客のデータセンター内でOracle Cloudを利用するOracle Cloud@Customer、OCI Dedicated Regionなどハイブリッドクラウド向けのソリューション、マルチクラウドでのMicrosoft Azureとの相互運用などに取り組んでいることにも触れる。

 Gartnerが2022年10月に発表したレポートで、OracleはCloud Infrastructure and Platform Services市場の「ビジョナリー」となった。「リーダー」の3大クラウド事業者に対し、ビジョナリーのOracleとAlibaba Cloudが後を追う格好だ。「この1年でOCIの信頼性は高まったのか? OCIが大口契約を締結しているという事実が答えだろう」(Patrick Moorhead氏)との評価も出ている。

 とはいえ、トップ3の背中はまだ遠い。Synergy Research Groupが2月に発表した最新のクラウド市場調査シェアでは、上からAWS、Microsoft Azure、Google Cloud、Alibaba、IBM(Kyndryl)で、まだOracle Cloudは顔を出していない。