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「AIを全ての製品に統合する」 OpenAIとAI戦略進めるMicrosoft

 OpenAIの対話型AI「ChatGPT」の衝撃が広がり続けている。MicrosoftのSatya Nadella CEOは、OpenAIのツールの商業化を急いで進め「全ての製品にAIを統合してゆく」と発言した。同社はOpenAIに100億ドルを追加出資することを検討しているとも報じられており、両社の組み合わせには大きなインパクトがある。一方、Googleも、これまで慎重な姿勢から転換して、AI製品の投入を加速する方針という。

「全ての製品にAIを統合」

 「ChatGPT」の評判は圧倒的で、Webサイトの訪問者数は2000万人を超えた。体験したいとウエイティングリストに登録したが、まだできていないという人も多いようだ。

 ChatGPTの「Bing」統合計画を年明け早々に報じたThe Informationは、続報でMicrosoftがOpenAIの技術をWord、PowerPoint、Outlookなどのアプリに組み込むことを検討していると伝えた。簡単なプロンプトからテキストを自動生成できる機能を追加して商品化するということだ。そしてすぐに、動き出していることが明らかになった。

 Satya Nadella CEOは、スイス・ダボスで1月16日から開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会で、Wall Street Journalのパネルに登場。OpenAIのツールの商業化を急いで進めることを表明した。「Microsoftの全ての製品に同じAIを部分的に統合し、製品を全く新しいものに変革していく」と述べている。

 この中でNadella氏は、AIツールは生産性を高めるために必要で、経済成長と賃金上昇をもたらすという考えを示した。また会場で、こうしたツールがWall Street Journalに与える影響について質問されると、「今後、GPTに頼って素晴らしい記事を書くことができるようになると思う」とジョークめかして答えた。

 Microsoftはその直前、Azure上でOpenAIの技術を利用できる「Azure OpenAI Service」を一般公開(GA)している。2021年11月からクローズドでテストしていたもので、ChatGPTの言語モデルであるGPT-3.5をはじめ、Codex、DALL-E 2などのAIモデルにアクセスして、アプリケーションに組み込むことができる。発表の中で、ChatGPTについても「間もなく」アクセスできるようにすることも明らかにした。

 Nadella氏は、Azureを「AIについて考える誰もが、そして全員の場所になるように」と述べている。Azureをコアに、全ての製品にAIを組み込んでゆく、というのが今後の方向のようだ。