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大規模人員削減続く テクノロジー企業に転換期か

ハイテク企業は構造調整を迫られている

 ハイテク業界の人員削減は、今年に入っての株式急落が引き金だが、それまでの拡大の反動とも言える。

 MetaのCEO、Mark Zuckerberg氏は従業員へのメモの中で、「EC収益の急増がパンデミック後も続くと予想し、投資額を大幅に増やす決断をしたが、期待通りにならなかった」と述べている。同社は過去数年間で、従業員を倍増させていた。Amazonも人員削減の理由として「経済状況の悪化による一部部門の成長鈍化や、パンデミック時の従業員数の急増」を挙げている。

 Wall Street Journalは、両社にNetflix(既に、5、6月で約450人を解雇している)を合わせた3社の過去数年間の動きを取り上げて解説しているが、いずれも、2020年から売り上げが急増し、採用ペースを落とさず従業員を増やし続けた。リモート化など新型コロナ需要に応えるだめだ。

 しかし、2022年になって、コンシューマーの生活が新型コロナ以前に回帰する動きが強まり、「人々はより多くの金をサービスに費やし、モノにはあまりお金を使わなくなった」。さらに、オンライン広告に頼る企業には、プライバシー問題でビジネスモデルに陰りが出ていることも影響したという。

 業績好調な企業も例外ではない。四半期として史上最大の売り上げを記録したCiscoも大規模なレイオフに踏み切った。理由は「特定の事業の規模の適正化」(Chuck Robbins CEO)だという。Light Readingによると、Ciscoは2018年以降、従業員を1万人以上増員し、今年7月のSECへの報告書では8万3000人を超えていた。

 ハイテク企業は株価上昇を背景に(しばしば高給で)人材を獲得し、さらに拡大するという成長シナリオを描いてきた。しかし、これが脱コロナ、株価下落、金利上昇、インフレで一変。投資家のコスト削減圧力が増し、人員を中心に構造的な変革を迫られているという状態だ。