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相次ぐ幹部流出 Salesforceの不協和音

 SaaSの代表的プレーヤーであるSalesforceで異変が起きている。共同CEOとしてMarc Benioff氏と同社を率いてきたBret Taylor氏が辞任を発表したかと思えば、その数日後には傘下のSlack CEOを含む複数の幹部も去ることがわかった。同社は第2四半期に初めて売上高でSAPを抜いたところで、そと目には問題なさそうだ。Salesforceに何があったのだろう。

Benioff氏後継と目されたTaylor氏が辞任

 9月に開催されたSalesforceの年次イベント「Dreamforce 2022」は盛況のうちに閉幕した。コロナ後初めて本格的に観客を入れたイベントで発表したのは、リアルタイムCRMを実現する「Salesforce Genie Customer Data Cloud」という機能だ。

 久々の大型製品のローンチを盛り上げようと、共同創業者兼共同CEOのBenioff氏、同じく共同CEOとしてBenioff氏と共にSalesforceを率いるTaylor氏は、新製品のキャラクターであるウサギの耳を付けてステージに立ち、会場を沸かせた。

 それから2カ月もたたない11月30日、SalesforceはTaylor氏の辞任を発表した。「よく考えた結果、自分の起業家ルーツに戻ることにした」とTaylor氏は述べ、来年1月末で取締役会副議長兼共同CEOを退くとしている。その後は、Benioff氏が議長とCEOを単独で務める模様だ。

 Taylor氏はBenioff氏の後継者と見られていたこともあり、市場にはショックが走った。

 だがそれだけではなかった。翌日には、 Salesforce傘下のBIツールTableauのCEO、Mark Nelson氏も辞任を発表。さらにその数日後、Slackの共同創業者兼CEO、Stewart Butterfield氏も辞めることがわかった。

 Slack買収はTaylor氏が構想したものと言われているが、Butterfield氏は、2人が同時期に辞めることになったのは偶然だと強調している。ほかにもButterfield氏と共に、SlackのCPO(最高プロダクト責任者)、マーケティングやコミュニケーションを率いてきた幹部も辞めるという。