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「Amazon Clinic」発表 Amazonのヘルスケア戦略

プライマリーケア、非同期、薬局の3本柱へ

 Amazon Careはプライマリーケアを提供する大きなプロジェクトで、医師を雇用するなど投資も行った。しかし、GeekWireが入手した社内メールで、Amazon Health Services責任者のNeil Lindsay氏は「われわれの法人顧客にとって、(Amazon Careは)長期的なソリューションとは言えなかった」と記している。ビジネスとしは失敗したということだ。

 CNBCは「Amazon Careがどれぐらいの顧客を獲得できていたのかは不明」としながら、2021年6月にHiltonやSilicon Labsなどの大手顧客名が公表されていたと付け加えている。

 Amazon Care終了の内幕を取材したThe Washington Postは、迅速、簡素、顧客を喜ばせることに執着するAmazonのアプローチに対して、医療スタッフが懸念を持っていた、と伝えている。効率重視のサービス設計が、“人的資本集約的”な医療現場の要請と合わず、進め方をめぐって医師と衝突することもあったという。

 Amazon Careは社員の福利厚生として始まり、外部向けに拡大した。これは自社用に構築したクラウドサービスを外販したAmazon Web Servicesと同じやり方だが、ヘルスケアはクラウドとは違ったようだ。

 The Washington Postは、ヘルスケア分野は生鮮食料品ビジネスに近い展開になるかもしれないと予想している。生鮮食料品のAmazon Freshは当初苦戦したが、Whole Foods買収によって強化された。

 その先の戦略はどうだろう。

 ヘルスケア情報サイトAdvisory Boardは、今回のAmazon Clinicを(メッセージをやり取りする)非同期型遠隔医療サービスと位置づけ、ここからユーザーをオンライン薬局のAmazon PharmacyやプライマリーケアのOne Medicalにつなぐことは容易に想像できるとしている。

 「この動きは、プライマリーケア、非同期ケア、薬局の3つのポイントで患者をキャッチし、他のAmazonサービスに誘導できるチャンスを意味する」という。