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MicrosoftとOracleが提携強化 政府クラウド争奪戦への動きも

政府機関クラウドの戦いが再燃?

 一週間後の7月27日、Microsoftが政府機関のクラウドをめぐり、他ベンダーと組もうとする動きをWall Street Journalが報じた。「政府機関が最良かつ最安価なクラウド技術を利用できる手段」としてマルチクラウドを位置づけ、ベンダー横断で推進するものだ。

 この連合は「Multi-Cloud Vision Statement and Principles」(マルチクラウド・ビジョン・ステートメントと原則)という未公表の文書を軸とするという。Microsoftは、Google、Oracle、VMware、Dell Technologies、IBM、Hewlett Packard Enterpriseなどに呼びかけている。ただし、AWSはいまのところ対象外となっている。

 実は今年4月、AWSが今後10年間で100億ドルに上る可能性があるNSA(米国家安全保障局)のクラウド契約を単独ベンダーで獲得したことが報じられた。コードネーム「Wild and Stormy」と呼ばれる秘密のプロジェクトで、Nextgovなどによって明らかになった。

 契約は2021年7月に最初の発注が行われてAWSが獲得したが、受注を争ったMicrosoftが異議を申し立て、米国会計検査院(GAO)が再評価を命じていた。しかし、NSAは再びAWSを選び、単独ベンダー契約が確定した。

 政府機関クラウドでは、「1社総額100億ドル総取り」で約4年間にわたってベンダーが争奪戦を繰り広げた国防総省のクラウド基盤「JEDI」の例がある。このとき、Oracleはあらゆる法的手段を使って、AWSの契約の阻止を試みた。また、契約はMicrosoftが逆転獲得したものの、JEDI自体がキャンセルになって白紙に戻った。同じような戦いがNSAでもまた繰り広げられていたのだ。

 Wall Street Journalは、AWSが連邦政府の契約のほとんどを獲得し続けていることにMicrosoftが不満を募らせている、との関係者の話を伝えている。一方、Amazonの広報担当者は同紙に対して、このようなロビー活動は利己的なものであり、より劣ったテクノロジーを顧客に使わせる結果になりかねないと反論している。

 各社がどのように動くかが注目される。