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猛暑でクラウドが停止 データセンターの熱対策に課題

冷却はますます重要に

 この夏の猛暑は地球温暖化の結果のひとつと考えられるが、データセンターの熱対策問題を改めてクローズアップしたといえる。

 インターネットとクラウドの利用が進むことでデータセンターの密度はさらに高まり、熱対策問題は、さらに深刻になる。DXのかけ声の下に進むデジタル化は需要をさらに後押ししている。一方でCPUの発熱は、いずれ現在主流のファンによる空冷方式では限界を迎えるといわれている。

 そこで近年、注目を集めているのが液体による冷却方式だ。Research and Marketsの予測では、世界のデータセンター向け液冷冷却市場は、2022年の21億ドルから年平均成長率24.8%で拡大し、2027年には64億ドルになると見込まれるという。

 液冷には、水冷ヘッドで冷却する「コールドプレート方式」や、非伝導性の液体に機器を浸す「液浸方式」などがある。全体に「効率に優れ、静音、コンパクトな冷却方法が市場の成長を加速している」とレポートは紹介している。

 The Registerは、Intelと液浸冷却技術を専門とするGreen Revolution Cooling(GRC)の取り組みを紹介している。両社が共同で作成したホワイトペーパーによると、サーバーのファンを除去するだけで電力消費を10~15%削減が可能。液浸型冷却を利用することで、スイッチギア、配線、予備発電機などの機器を減らせるため、より多くの台数のサーバーを設置できる、とする。

 しかし、課題も多いようだ。Omidiaのシニア主席アナリストMoises Levy氏は「液体の品質を監視しなければならず、フィルタリングシステム、ソフトウェアなどが必要」とThe Registerにコメントしている。

 AI、メタバース、ブロックチェーン、自動運転などの進展で、データセンターはますます膨大な処理を引き受けることになる。この猛暑は、クラウドベンダーに対策の加速を迫りそうだ。