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猛暑でクラウドが停止 データセンターの熱対策に課題

ホースで散水して屋外機から放熱

 障害発生時、Google Cloudの運行状況を知らせるサイトは、「冷却関連の障害が発生」と報告していた。「容量の一部が不足し、一部の顧客の仮想マシンが終了してマシンが失われた」「ごくわずかの複製された永続ディスクデバイスが単一冗長モードで稼働している」と状況を説明している。

 サーバー、ネットワーク、ストレージなどの機器が高密度で設置されているデータセンターは熱対策が必須だ。データセンターの消費電力の40%が冷却に使われているともいい、熱はサービスの継続性とコスト面からの重要な課題だ。

 さらに近年のSDGsの流れで、各社ともデータセンターの電力消費削減をアピールしている。データセンターは世界の電力の1.5~2%を消費しており、10年後には2ケタになるとの試算もある。

 こうしたことからデータセンターを寒冷地に設置するケースは増えている。その意味では、ロンドンは悪い場所ではない。7月の平均気温は最高が22度、最低は13度だ。外気温が40度を超えることを想定していなかったとしても無理はない。

 この予想もしなかった猛暑で、データセンターのスタッフも必死の対応をとっていたようだ。Bloombergは、このとき、屋上に設置されている屋外機にホースで水をかける「ローテクな冷却方法」が用いられたと伝えている。特に、都市部の密集地でフル稼働している小規模なデータセンターで、緊急の冷却が必要になったという。

 データセンター向けに冷却システムの提供・保守を行うAiredale Internationalのアフターマーケット担当ディレクター、Adrian Trevelyan氏は、この方法について「ホースで水をかけて屋外機の温度を下げ、効果的に放熱するため」と説明している。

 Bloombergは、ほかにもロンドン首都圏や金融地区でローテク冷却が行われていたとも伝えている。

 Google Cloudの障害で自社のサービスにも影響を受けたというDatacenter Dynamics(DCD)は、Trevelyan氏の話を紹介しながらも、「すでにデータセンターは大量の水を使っているが、このような水の使用は緊急の水道利用につながる」との懸念も述べている。