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「Twitterを言論の自由のプラットフォームに」 物議醸すElon Musk氏の買収提案

 Elon Musk氏がTwitterに全株式の買収を提案した。世界一の大富豪となった同氏が、巨大SNSプラットフォームのTwitterを持つ意向とのニュースは、世界を駆け巡った。Musk氏は、買収の狙いは「言論の自由のため」であって、「利益を求めるものではない」とメッセージを発しているが、Twitter側は対決姿勢を鮮明にしている。巨大SNSの運営の議論にも一石を投じるものだ。

「途方もない可能性を解き放つ」

 「民主主義が機能するため、米国や他の国が自由な国として機能するために重要だと考える」。買収提案が報じられて数時間後、カナダ・バンクーバーで開かれた「TED」カンファレンスのステージで、Musk氏はTwitter買収の狙いを説明した。

 ここ数カ月、TwitterをめぐるMusk氏の動きが活発になっていたが、全株式買収の提案で一気に世界の注目を集めた。

 Musk氏は1月からTwitter株の取得を開始。4月4日付でSEC(米証券取引所委員会)に提出した書類では保有比率が9.2%になったことが明らかになった。4月5日、同社はMusk氏が取締役に就任すると発表。しかし、就任予定日だった4月11日、CEOのParag Agrawal氏が「Elonは取締役に参加しないと決めた」とツイートで発表した。

 そして4月14日、Musk氏は全株式の「買収提案をした」とツイート。13日付でSECに提出した書類へのリンクを張った。この中にはTwitterのBret Taylor取締役会長にあてて、全株式を1株あたり54.2ドルで現金で取得すると提案したことが記されている。評価額は約430億ドルとなる。

 書類では、出資の意図をこう説明している。「世界中の自由な言論のためのプラットフォームになるという潜在性を信じて、Twitterに投資した。言論の自由は、機能する民主主義の社会規範だと信じている」「Twitterには途方もない可能性がある。私はそれを解き放つ」と述べている。

 これが冒頭で紹介したTEDでの発言と一致する部分だ。TEDでMusk氏は「Twitterは、デファクトの“言論の広場”になった」とした上で、「民主主義が機能するために重要。もし、パブリックなプラットフォームとしてTwitterの信頼性が増すのなら、文明のリスクを減らすことができる」と述べている。