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「Twitterを言論の自由のプラットフォームに」 物議醸すElon Musk氏の買収提案

言論の自由のプラットフォームにするには

 Twitterの可能性をMusk氏は、どうやって解き放つのだろう――。TEDでは、まず「アルゴリズムをオープンソースにすべきだ」と提案する。

 「アルゴリズムがブラックボックス状態で、誰にどんな変更があったのかが不明確で、ツイートが不可解にプロモートされたり、その逆だったりする理由がわからない。これらについて明確にすべきで、背後にアルゴリズムや手動で操作のようなものが働いていないことがわかる(ようにすべき)」(Musk氏)。

 ほかにも、ツイートを変更できる編集ボタン(既に有料サービス向けには開発中)、ボット対策なども挙げた。全てを放任するのではなく、詐欺やスパムを厳しく取り締まるとの姿勢も示している。

 これらは「言論の自由」に資するとMusk氏は言う。その主張は、SNS企業の規制が行き過ぎだと考える人たちの支持を得る一方で、懸念する声も多い。

 リサーチ企業Third BridgeのScott Kessler氏は、Musk氏の「言論の自由拡大」の主張は、2021年末にCEOを辞任した共同創業者Jack Dorsey氏の取り組みの成果をリセットしてしまう恐れがあるとWall Street Journalに語っている。

 Dorsey氏の下、Twitterはヘイト、暴力などの発言を積極的に排除してきた。最たるものが2021年1月のDonald Trump氏のアカウントの永久凍結だ。Musk氏が主導するようになると、Twitterは有害なコンテンツの報告や遮断用ツールへの投資を削減するとの予想もあるという。

 コンテンツのチェックに取り組んできたTwitter従業員も動揺しているという。Wall Street Journalは「有害コンテンツ対策にフォーカスするチームを不安定にするのではと懸念している」「Musk氏が複雑なコンテンツのモデレーションについての理解が浅いことにあきれている」という関係者の証言を伝えている。

 TEDでは対談相手のChris Anderson氏が「TwitterもFacebookも、たくさんの社員を雇って(コンテンツが有害かどうかについて)賢明な意思決定を下そうとしている。問題は、全員が同意できることはないということだ」と疑問を挙げた。

 これに対し、Musk氏は「答えのない問題である」と認めながらも「あなたの嫌いな人があなたの嫌うことを言える。これこそが言論の自由が健康的に機能している状況だ」と答えた。