Infostand海外ITトピックス

メタバースに突き進むMeta 厳しい状況と転換の混乱

 Facebookが新社名の「Meta」と、メタバースに全力を投入すると発表して4カ月。同社は厳しい状況にあるようだ。最新の四半期決算では、ユーザー数が創業以来初めて減少したことが明らかになった。ついに「成長の限界点」に達したとの見方も出ている。一方で、メタバースへの急転換で、社内に混乱も起こっているという。

デイリーユーザーが初めて減少

 2月2日に発表されたMetaの2021年第4四半期(10~12月期)決算は、売上高336億7000万ドルで、アナリスト予想(334億ドル)を上回り、純利益は103億ドルだった。それほど悪い数字ではないが、投資家は今後に不安を持ったようだ。

 理由は、Facebookサービス史上初めてのユーザー減だ。同四半期のデイリーアクティブユーザー数(DAU)は19億2900万人で、前四半期の19億3000万人から減少。マンスリーアクティブユーザー(MAU)は29億1000万人で横ばいながら、アナリスト予想の29億5000万人に届かなかった。

 比率は小さいとはいえ、「初」のインパクトは大きい。また、飽和状態の欧米ではなく、アフリカと中南米での減が影響したことも、世界最大のSNSが盛りを過ぎたことを思わせた。

 収入源であるオンライン広告も不振だ。Appleのプライバシー保護強化を受けての広告の売り上げ減や、InstagramがTikTok対抗で投入した短編動画サービス「Reels」の収益化で苦戦していることも報告され、不安に追い打ちをかけた。

 株価は時間外取引で20%以上も下落。IT大手の多くが好調な数字を出している中で、1人負けのような格好だ。メディアからは「全世界をつなぐというFacebookの夢は死んだ」(Washington Post)といった分析も出ている。

 Metaが全力を注いでいるメタバースも、まだ利益を生むには時間がかかる。今回、初めて公表したAR/VR開発部門「Reality Labs」の収支は、2021年で売上高22億7000万ドルに対して101億9000万ドルの純損失だった。

 前年、前々年もそれぞれ66億ドル、45億ドルという巨額赤字を計上しており、2022年も「有意な損失拡大」が見込まれるという。