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メタバースに突き進むMeta 厳しい状況と転換の混乱

暗号資産プロジェクトは終了

 14人の退職者の中で特に目立つのは、8年以上もCTO(最高技術責任者)を務めたMike Schroepfer氏だ。2022年内に職を退き、非常勤のフェローになるという。

 後任にはハードウェア部門の責任者であるAndrew“Boz”Bosworth氏が昇格する。「メタバースの構築に力を入れている同社で、ハードウェアの役割が大きくなったことを示す」(CNBC)とみられている。

 一方、退職幹部の中には、社運を賭けたプロジェクトの責任者だった者もいる。暗号資産プロジェクトのDavid Marcus氏(11月発表)だ。

 2019年に「Libra」として打ち上げた暗号資産の発案者で、Mark Zuckerberg CEOに進言したと言われている。Libraは「グローバルな通貨と金融インフラ」を目指したが、各国政府や通貨当局から強い反発を浴びて、パートナーが次々と離脱。名称を「Diem」と変更して、巻き返しを図ったが、結局終了することになった。

 1月31日、管理団体「Diem協会」(Diem Association)が、「知的財産を含む関連資産を売却する」と発表した。声明では「連邦当局と折衝を続ける中で、プロジェクトを進めるのは不可能であることが明らかになった」と説明している。

 Diemも、メタバースと同じく、同社が次の時代の生き残りを賭けて勝負に出たプロジェクトだった。残るメタバースも実現の道は平坦ではない。Zuckerberg氏は、引き続き難しいかじ取りを迫られるだろう。