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成長継続と新しいトレンド 2022年クラウド予想

 2年間続くコロナ禍は、企業のデジタル変革(DX)を加速させ、クラウドの成長にも寄与している。その市場規模は、さらに拡大し、Gartnerの予測では2022年にグローバルで前年比16%増の4740億ドルに達するという。マルチクラウド、データ活用といった流れの中、2022年に注目される動きは? エキスパートの予想をみてみよう。

デジタル戦略がさらにクラウド化を加速

 「クラウド戦略のないビジネス戦略はない」とGartnerバイスプレジデントのMilind Govekar氏は言う。同社の予測では、「クラウドファースト」戦略をとる企業は2025年に85%以上となり、新しいデジタルワークロードの95%以上がクラウドネイティブのプラットフォーム上に実装されるという。

 「クラウドネイティブのアーキテクチャなしにデジタル戦略をフルに実行できない」(Govekar氏)というのがその背景だ。これに伴って、ユーザー側の新しい課題もクローズアップされる。

 Deloitte Consultingの最高戦略責任者で、クラウドコンピューティングの専門家であるDavid Linthicum氏は、ガバナンスと運用(Cloudops)の2つにフォーカスした予測をInfoWorldへの寄稿で披露している。

 ガバナンスでは、企業が以前から感じている「コスト」への課題意識が高まるとする。多くの企業でクラウドサービスの過剰消費などが起こり、コストがコントロールできなくなっていることが背景にある。

 コストをはじめとしたマルチクラウド管理ソリューションは既に存在するが、「中核の問題には対応できてない」というのがLinthicum氏の見立てだ。そこで、「2022年、企業は(コストを最適化する運用モデルである)FinOpsにフォーカスするだろう」とみる。また、コストガバナンスの説明責任を果たすカルチャーを社内に構築することも重要と説いている。

 Cloudopsは、現在のクラウドが過度に複雑になっており、抽象化と自動化の概念が管理ツールに十分でないことから重要になる。2021年は複雑性の問題が一般に理解されるようになった年で、2022年は、その解決のため、FinOpsガバナンスと、Cloudopsオートメーションが注目される、というのがLinthicum氏の予想だ。