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急速に進化する中国チップ開発 支える米国資金

活況を呈する中国チップ企業

 中国では、ここ数年、多くのチップベンチャーが立ち上がっているという。同国の有力経済メディアCaixin Global(財新)は8月11日付で、その動向を伝えている。NVIDAに対抗するため、複数のベンチャーが膨大な資金を投入して、次世代チップの開発を加速しているというものだ。背景には、中国政府の半導体生産の自立化政策と、世界的な半導体不足の追い風があるという。

 とりわけAI技術の根幹となるGPGPU(汎用GPU)開発が活発で、Moore Threadsはその中の1社だ。他に、2015年設立の「Iluvatar CoreX」や、2019年設立の「Biren Technology」、2020年に元AMDの2人が創設した「MetaX Integrated Circuit」などの名前が挙がっている。

 それぞれ活躍していて、Iluvatar CoreXは3月に7nm(ナノメートル)技術を採用した中国初のGPGPUを発表。Birenは47億元(約7億500万ドル)の資金調達に成功し、評価額は100億元(15億ドル)を超えた。Moore Threadsは、これらに続く新興企業で、2回の資金調達で数十億元を調達しているという。

 Caixinによると、中国の半導体スタートアップは混戦状態にある。獲得した資金を活用しながら、人材獲得を進めており、NVIDAやAMD、他の大手半導体企業のベテランを採用しているという。

 Moore Threadsの陣容もその一例だ。同社のWebサイトには現在も、大量の求人が掲載されている。GPUやSoCの設計、テストなどのエンジニアから、マーケティング、ファイナンス、労務管理まで、HRまであらゆる職種に及んでいる。しかも、勤務地が、北京、西安、武漢、成都、上海、杭州など、主要都市に広がる。猛烈な勢いで体制を整えているようだ。

 こうした活動を支える資金は、政府の支援に加えて、ベンチャーキャピタルが提供している。例えば、Birenには、Hillhouse Group、Walden International China、BAI Capitalなど。MetaXには、Lightspeed China Partners、Sequoia Capital、ZhenFundなどが出資者として名を連ねている。

 米国(またはその中国現地法人)もかなり参加しており、このことが米国で問題視されるようになっている。