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急速に進化する中国チップ開発 支える米国資金

米国側は規制への動き

 Wall Street Journalは、11月12日付の「チップ支配を狙う中国を、安全保障上の懸念にもかかわらず米国企業が助けている」と題した記事で、中国半導体産業への米国からの投資状況を報じている。

 それによると、米国のベンチャーキャピタル、チップ業界大手、個人投資家などが2017年から2020年までに中国の半導体業界で58件の投資取引に参加し、その数は過去4年間の2倍以上になっているという。

 特にシリコンバレーのベンチャーキャピタルが投資を拡大しているという。Sequoia Capital、Lightspeed Venture Partners、Matrix Partners、Redpoint Venturesの4社は現地関連会社などを通じて、2020年以降、少なくとも67件の投資を行っていたことが分かった。

 「米中はともに将来の地政学的優位のために重要なテクノロジーを支配しようとしており、この投資の波は両国の競争の火種となっている。半導体は、モバイルフォンからAI、核兵器まであらゆるものを支えているのだ」と同紙は解説する。

 この“中国を利することになる資金の投入”は議会の危機感を呼び起こしており、新しい規制をつくる動きが出ている。

 昨年10月に設立された米下院の「米中経済安全保障審査委員会」は、「国家安全保障に悪影響を及ぼす可能性のある対中投資を審査し、場合によっては阻止する権限」を議会に設けるよう提言している。また、民主、共和両党の議員が同趣旨の法案を提案しており、NSC(国家安全保障会議)の担当者と意見交換をしているという。

 こうした規制には経済団体が激しく反対する可能性があり、実現するかは不透明だ。しかし、いまの米中関係悪化の流れをみると、一気に進む可能性も大いにありそうだ。