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“ニッチ”なCPaaS市場を狙う EricssonのVonage買収

「5Gはクラウドネイティブ。CPaaS市場に拡大する」

 Vonageのクラウドコミュニケーション事業は、「Communication Platform as a Service(CPaaS)」と呼ばれる分野のものだ。APIを通じてネットワーク側の音声通話、テキストメッセージ(SMS)、動画通話などの機能にアクセスできる。

 Vonageは「Vonage Communication Platform」として展開しており、開発者登録は100万人に達するという。その売上高は全体の7割以上を占め、2ケタ成長を記録している。

 EricssonのEkholm氏はアナリスト向け電話会議で「Vonageは現在、API市場の7%を持っている。だが、あと5年程度で、APIの市場規模は世界のRAN市場の50%程度に成長するだろう」「(Vonage買収によって)5G APIで市場を作る」と述べたという。

 CPaaSは現時点では、まだ“ニッチ”な市場だ、とLightCountingのチーフアナリスト、Stephane Teral氏はSDxCentralに語っている。Vonageの他には、Twilio、Sinchなどのベンチャー企業がいるぐらいだ。

 だがEricssonは2025年には、その市場規模が220億ドルに成長すると予想。その時点でVonageの事業は年4億ドルの利益をもたらすと期待する。

 買収に困惑したというアナリストたちも、Ericssonの戦略には一定の理解は示している。

 ZK Researchの設立者でアナリストのZeus Kerravala氏は「5Gはクラウドネイティブだ。その特性によって、開発者プラットフォームを構築して、ネットワークに統合されたアプリケーションをその上で動かす素晴らしいチャンスがある」とSDxCentralに述べ、EricssonによるVonage買収を「ある程度、意味をなす動き」とする。

 GlobalDataのテレコム技術とソフトウェアのサービスディレクター、John Byrne氏は「買収によって、企業顧客はEricssonを違った視点で見ることになる。成功のためには、Vonage開発者が忠誠度の高いEricsson開発者になるよう、教育と奨励策を提供する必要があるだろう」と述べている。

 Ericssonは取引の完了が2022年前半になると見込んでいる。