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“ニッチ”なCPaaS市場を狙う EricssonのVonage買収

中国市場での苦戦とオープン仕様の台頭

 Ericssonが提供するRANの技術は、通信事業者のネットワーク構築に不可欠だ。だが、5Gの展開は世界中で勢いが続いているにもかかわらず、Ericssonの業績は厳しい。

 10月に発表した2021年第3四半期(7-9月期)の決算は、売上高が前年同期から2%減の563億SEK(スウェーデンクローナ、約61億3000万ドル)、純利益は58億SEK(約6億3000万ドル)で前年同期比4%増。世界的な5G機器販売の好調でカバーしたものの、中国市場での失速が大きく足を引っ張っている。

 欧米がHuawei排除を続ける一方で、スウェーデンを本拠地とするEricssonは中国市場のビジネスから締め出されつつある。中国のテクノロジーメディアPandailyによると、先ごろChina Mobileが行ったネットワーク技術の入札は、中国のHuaweiとZTEが落札。Ericssonは何も受注できなかった。

 同四半期の中国市場の売上高は13億SEK(約1億4000万ドル)で前年同期から74%落ち込んだ。前期(63%減)に続いて、2四半期連続の大幅マイナス成長だ。同社はシェア縮小を受け、中国市場の営業と技術サポート部門を再編することも明らかにしている。

 Ekholm氏は以前から、スウェーデンをはじめとする欧米政府のHuawei排除の動きに反対意見を述べてきたところだ。

 外部環境としては、もう1つある。RAN市場の大きなトレンド「OpenRAN」だ。これまで独自仕様だったRANの世界に業界標準の仕様を策定する動きで、Ericssonのような古参ベンダーには、既存のやり方の変更を強いるとも言える。

 そうした中で、次の一手として目をつけたのが、Vonageが進めるクラウドコミュニケーション事業ということになる。