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もうひとつの“コロナ”が迫る? 「インターネットの大災害」とも

最も脆弱なのは北米

 巨大な太陽嵐がインターネットに影響する仕組みはどうなのだろう。

 インターネットインフラには、銅線ベースのものと光ファイバーがある。後者は電気ではなく光を使うので影響は受けない。そのため、光ファイバーを用いたインターネットインフラは大丈夫だという。論文が問題視しているのは、銅線のケーブル。例えば、長距離の海底ケーブルなどだ。

 国をまたぐデータの99%が海底ケーブルを通り、敷設が多い地域は、北米、欧州、そしてシンガポールだ。このうち極地に近い方、高緯度の地域が、より太陽嵐の影響を受けやすくなる。

 その海底ケーブルには50~150キロ間隔で中継器(リピーター)が設置されているが、ここで電気が使われている。光素材が利用されていたとしても中継器がダウンする可能性があり、ケーブルの運用が止まるとネットワークも止まる。

 保護機能から見ると、インターネットは障害発生時にリルーティングを行い、障害の程度が軽ければ速度の低下程度で済む。しかし、Border Gateway Protocol(BGP)やDNSなどが機能しなくなるとネットワークは停止してしまう。

 また、一般的に欧州はケーブルが短いが、北米は長いという。ケーブルが長いほど、いったん障害が発生した場合の復旧に時間がかかる。

 こうしたことから、大規模な太陽嵐が発生した場合、北米のインターネットインフラが最も脆弱だと論文は予想している。最悪、インターネットの停止が数カ月も続く可能性さえあるという。

 このほか、インターネットは海底ケーブルだけではなく、衛星ベースのサービスもある。こちらについても、衛星が直接太陽嵐にさらされることもあり、脆弱であることでは同じだという。