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仮想世界に本腰 Facebookが考えるスマートフォンの次

 Facebookが「メタバース」の専門プロダクトチームを立ち上げた。VRとARの研究部門傘下で、VRヘッドセットの「Oculus」で体感できる仮想世界をつないでゆくという。CEOのMark Zuckerberg氏は、メタバースを主軸とする企業に自社を転身させるとも公言する。

メタバース専門部隊を新設

 「5年程度で、Facebookをソーシャルメディア企業から、メタバース企業とみられるように移行できると思う」。FacebookのCEO、Zuckerberg氏は7月22日付のThe Vergeの独占インタビューで、こう語っている。

 メタバースは、もともとNeal Stephenson氏のSF小説「Snow Crash」に登場するインターネット上の仮想世界のことだ。ユーザーが共有する仮想空間で、アバターなどを使って、コミュニケーションもできる。細田守監督の「竜とそばかすの姫」もメタバースを舞台とした話だ。

 Facebookが7月27日に発表したメタバース専門チームは、VRとARに取り組むFacebook Reality Labs(FRL)に所属。Instagram、Facebook Gamingなどからやり手スタッフが参加したという。FRLの責任者Andrew Bosworth氏は、「物理的制約を取り除き、部屋から部屋へと同じように、空間を移動できる」ことを目指すと説明している。

 新チーム発表直前には、データプライバシー分野の弁護士、Joseph Jerome氏のFRLへの参加も発表された。同氏はVRとARに詳しく、Oculusにペアレンタルコントロールがないと指摘したことなどでも知られる。また、FRLでは、リアルなアバターにつながる研究が進められている。

 Zuckerberg氏は最近、頻繁にメディアに登場して、メタバース構想について語っている。6月には、仏パリのハイテクイベント「Viva Technology 2021」にオンラインで登場。「VRはPC、スマートフォンに続く、次の主要なコンピューティングプラットフォームになる」と、その重要性を強調していた。