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トップになったクラウドのJassy氏 AmazonのBezos氏退任

立ちはだかる課題

 クラウド事業のトップが全社のトップになるのは、Amazonが初めてではない。2014年にMicrosoftのCEOに就任したSatya Nadella氏は、クラウド&エンタープライズグループのバイスプレジデントだった。

 また最近では、IBMのArvind Krishna氏も、クラウドとコグニティブソフトウェア事業のトップからCEOに抜擢された。プラットフォーマー企業でのクラウドの重要性を反映したものと言える。

 だが、Amazonの場合、クラウド以外にも広くビジネス展開しており、Jassy氏が引き継ぐ責任も広範囲で大きい。

 同社は、司法省、連邦取引委員会、連邦議会、欧州連合からそれぞれ独占・寡占、データの不正利用などの疑いで調査を受けている最中だ。「オンライン販売市場で独占的地位を築き、音声操作やクラウドサーバー市場でも寡占状態を築きつつある」(下院司法委員会・反トラスト小委員会報告書)と指弾される中、Jassy新CEOは、矢面に立たねばならない。

 民主党新政権下で、Amazonなど巨大テック企業への風当たりがますます強くなることも予想される。

 また、従業員の待遇を巡って労使争議が頻発している。昨年は、アラバマ、ニューヨークなど国内のほか、スペイン、ドイツ、バングラデシュなどなど国外でもストライキが起きた。労働者の組織化も進み、連絡国際運動「make amazon pay」(Amazonに支払わせよ)といったものも立ち上がっている。

 もちろん足下のクラウド事業でもライバルとの戦いが続く。パブリッククラウドではMicrosoftが追い上げ中だ。これらに対して、Jassy氏がどのようにAmazonのかじ取りをしてゆくか、世界の目が集まる。

 CEO交代の発表を受け、MicrosoftのNadella氏と、Google CEOのSundar Pichai氏は、それぞれ「おめでとうJassy。あなたの新しい役割に!」と祝福のツイートを送った。その週末、Jassy氏は「未来にわくわくしている」とツイートしている。