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Google vs 司法省 約20年ぶりの大型IT独禁法訴訟に

消費者への害の有無

 Googleの“独占度”はどれくらいなのだろう。Wall Street Journalのまとめでは、検索で92%(モバイルでは95%)、デジタル広告で40%。スマートフォンOS(Android)で米国約40%。ブラウザ(Chrome)で66%などとされている。

 だがeコマースとオンライン消費者の業界団体NetChoiceのCarl Szabo氏は、司法省の主張は独禁法違反の要件として十分でないと見る。「独禁法違反は『市場のパワー』『その悪用』『消費者への害』の3点がそろう必要がある」として、3番目の「消費者への害」に関する証拠はない、とCNN Businessにコメントしている。

 CNN Businessは、Googleの「人々の日常を助ける無償サービスの提供に集中している」という反論を取り上げながら、「『消費者の好み』と『サービスの低コスト』という2点で、同社は有利な議論に持ち込むことを狙っている」と分析する。

 一方で、本件では、こうした従来型の独禁法のアプローチを見直すべきだとの意見もある。

 消費者保護団体Open Markets InstituteのSally Hubbard氏は、消費者価格という「近視眼的で古いものへの固執」は、消費者が別の面で害を受けることを見失わせると主張する。

 実際、司法省の訴状も「ほとんどの検索エンジンは消費者に料金を課さない」が、「Google検索の結果と引き換えに、個人情報やアテンション(広告のデータ)を提供している」と記しており、Googleの言うような「無償」ではないとの立場だ。

 競合はどうだろう? 旅行口コミサービスのTripvisorは司法省の動きを歓迎。「Googleはインターネットの門番という独占的な立場を使って、他の企業を遠ざけた」とCNBCにコメント。ほかに旅行業界から、検索連動型の広告「Google Hotel Ads」「Google Flight」などで自社が上位に表示されなくなったと主張するExpediaなどのコメントを紹介している。

 なお、Webブラウザで競合関係にあるMozillaは、自身に「巻き添えの被害が起こるべきではない」とする複雑なコメントを出している。Mozillaは、FirefoxでGoogle検索をデフォルトにすることで年間4億~4億5000万ドルをGoogleから受け取るという契約を2023年まで結んでいる。財務状況が苦しい中で、この収入を失いたくないという心中がうかがわれる。