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Google vs 司法省 約20年ぶりの大型IT独禁法訴訟に

Microsoft独禁法訴訟との類似点

 司法省と11州は、1998年に提起したMicrosoftの独禁法訴訟をモデルにしているようだ。この訴訟は「Windows OS」と「Internet Explorer」の“抱き合わせ”が争点となり、12年間にわたって争われた。

 独占的な行為に反対する経済団体American Economic Liberties Projectの執行ディレクター、Sarah Miller氏はThe Guardianに寄稿し、AndroidとChromeの抱き合わせを独占的立場の乱用と断言。Windows OSとGoogle検索は、ともにユーザーが増えれば品質が改善され、それがさらにユーザーを呼び込むという「スケール」が働くとも指摘する。その結果、ライバルの規模拡大は妨げられる。

 CNBCはMicrosoftの訴訟にかかわった弁護士の何人かに取材。Googleの訴訟との類似点をチェックした。

 その中で連邦取引委員会(FTC)の元委員長でジョージワシントン大学教授(法学)のWilliam Kovacic氏は、訴状が「対Microsoftの訴訟に一字一句追随するような形で書かれている」と指摘している。Microsoft訴訟は和解したが、連邦控訴裁は司法省の主張の主要部分を支持した。

 だが、Googleもこの裁判のことだけを考えていては済まないようだ。今回の訴訟で司法省は事前に全米48州の司法長官と連絡を取り、全米一致での提訴を目指したが、参加しなかった州が多い。

 司法省に合流した11州は共和党系の司法長官を選んでいる州だが、政治ニュースのPoliticoは、別行動をとったコロラド州などが中心となって(共和、民主)超党派で、より広範囲の訴訟を準備していると伝えている。

 ほかにテキサス州(共和党系)にも、Googleの広告技術分野に焦点を当てた独自の訴訟を起こす動きがあるという。Googleの独禁法訴訟は、その対象範囲を広げながら進んでゆく可能性がある。

 また、風当たりの強さは、大統領選でBaiden候補が勝利して民主党政権が誕生したとしても変わらないだろう。民主党は、共和党よりももっと大企業に厳しいからだ。

 民主党が主導権を持つ下院司法委員会の反トラスト小委員会は10月上旬、巨大IT企業「GAFA」(Google、Amazon、Facebook、Apple)の独占に関する調査報告書を発表したばかりだ。この報告書は競争を復活させる必要を説き、4社の企業分割にまで言及している。