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「GPT-3」をMicrosoftが独占? 開発元OpenAIへの批判も

Office 365やBingにGPT-3のメリット?

 提携でのMicrosoftの狙いは何だろう。OpenAIが公開していないGPT-3のコードにアクセスできるメリットは、まず自社顧客にGPT-3の機能を提供できるようになることだ。

 Scott CTOは発表で、「Azureを使うAIプラットフォームを拡大してAIテクノロジーの広範な利用を可能にする。新しい製品、サービス、体験を生み出し、拡張性のあるAIに影響を与えることができる」と抽象的な言い回しでメリットを語った。

 エンジニアでテクノロジーブロガーのBen Dickson氏は、自身のブログTech Talksで分析。Microsoftこそ提携の“真の勝者”として、幅広い可能性を予想している。

 自然言語処理が直接関係するMicrosoftの製品として、100万社に利用されている「Office 365」、検索エンジン「Bing」、音声アシスタント「Cortana」があり、これらにメリットがあるとする。中でも、シェアの低いBingやCortanaがGPT-3を活用すれば、「市場のダイナミクスを動かすことができるのではないか」と予想する。

 例えば、「GPT-3を組み込んだBingが外部のリソースを参照しながら、Wordでの文章作成を支援する」といった活用の仕方がある、と提案する。

 また、「MicrosoftのGPT-3ライセンスはAPI価格モデルに縛られないため、顧客の利用分を負担できる」と指摘し、Microsoftの顧客が無償でGPT-3の機能にアクセスできる可能性があるとも推測する。OpenAIのAPI価格モデルを利用する他社の場合、AIモデルを動かすコストの60倍以上になると付け加えている。