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AppleのAR/VR戦略に注目 2兆ドル企業の次の一手

 AppleのAR/VR戦略がまた注目を集めている。きっかけはVRベンチャーの買収だ。米国企業として初めて時価総額2兆ドルを突破した同社は「iPhoneの次」を模索中。さまざまな企業の取り組みにもかかわらず大ブレークに至らないAR/VRで、Appleが果たす役割に期待が高まっている。

VRゲームから会議用アバターへ

 テクノロジー専門メディアのProtocolが8月24日、AppleがARベンチャーのSpacesを買収したと報じた。Spacesはその前の週、サービスを閉鎖して「新しい方向に向かう」と自社サイトで告知していた。Appleは買収を認めたが、「われわれは、時に小規模な企業を買収するが、通常、その目的や計画についてコメントしない」という紋切り型のコメントを出しただけだ。

 Spacesの創業は2016年で、「シュレック」などで知られるCGアニメーション会社Dreamworks Animationの元社員2人が立ち上げた。当初は位置情報ベースのバーチャル体験などを開発。マルチプレーヤーゲームの「Terminator Salvation: Fight for the Future」にもかかわった。このゲームは日本でも、2018年にセガが渋谷に開業したVR特化型アミューズメント施設「JOYPOLIS VR」などに設置された。

 Spacesは950万ドルを資金調達したというが、新型コロナの拡大を受けて戦略変更を強いられていたようだ。ProtocolやBusinessInsiderなどによると、“三密”に該当するVRセンターは閉鎖に追い込まれたという。

 そこで、コロナ禍下の巣ごもり市場を狙ってSpacesが提供していたのが、ビデオ会議で使えるアバターだ。Zoomなどの拡張機能として提供している。

 ただ、財務状態は苦しかったようで、人員削減を行ったほか、米政府がコロナ対策として用意した救済パッケージ(PPP:Paycheck Protection Program)の適用も受けていたという。