Infostand海外ITトピックス

TikTok売却に向け圧力続く 輸出規制の影響に注目

アルゴリズム付きか、なしか?

 新しい規制は、中国からの輸出禁止品目リストの改定で、今回新たに20以上が追加された。その中には、AI、コンテンツレコメンデーションをパーソナライズするツールなどが含まれている。

 Bloombergによると、中国商務省の報道官は「(リスト改定は)特定企業を念頭に置いたものではない」としているが、対象技術を持つ企業は中国政府と協議する必要があるという。

 中国政府の意図はどうだろう。Wall Street Journalは、その考えをよく知る専門家の意見として、「新たに加わった制限は(TikTok米国事業売却の)取り引きを遅らせ、中国政府が介入し、米国で対米外国投資委員会(CFIUS)が課しているのと同様の精査を入れたいため」と紹介している。リストが更新されるのは、2008年以来12年ぶりという。

 TikTokは数十秒程度の動画を共有するという単純なものだが、その中核となるのはByteDanseが開発したAI技術だ。次にどの動画を表示するのかなどを決めるもので、「高度なAI技術がTikTokの成功につながっている」とWall Street Journalは評価する。Yahoo! Financeも「TikTokが持つ1万5000行の機械学習のコードこそ、最も魅力的な資産」とする。

 ByteDanseはTikTokの米国事業の売却で300億ドルを要求しているというが、この技術が含まれるかは大きな要因となりそうだ。

 「アルゴリズムなしのTikTokは、安いエンジンを持つ高級車のようなもの」との専門家のコメントをWall Street Journalは引用する。一方で、「ユーザーを獲得するという目的なら、アルゴリズムのないTikTokを取得するのもアリだ」との見方も紹介している。深層学習モデルはデータを集めて再度構築できるという。

 TikTokの価値をどうみるか、買い手たちには悩ましいところだろう。