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「変わるMozilla」 大規模リストラから新しい道を模索

 Mozillaが全従業員の約4分の1にあたる250人をレイオフすると発表した。新型コロナによる経済状況の悪化で、大幅な組織再編を余儀なくされたものという。同社は今年1月にも70人のレイオフを行ったばかり。「Netscape」ブラウザーから発し、15年の歴史を持つMozillaは、大きな転換期を迎えているようだ。

今年2回目のレイオフ

 「今回の再編は、従来のビッグテックに代わるものを人々に提供する製品やサービスを構築し、それに投資する力を強化するものである」。Mozilla CEOのMitchell Baker氏は、「変わる世界、変わるMozilla」と題したブログで、リストラを発表した。250人のレイオフのほか、台北オフィスの閉鎖も決まった。

 Mozillaには、Mozilla Foundation(以下、財団)とMozilla Corporation(以下、Mozilla)の二つの組織がある。財団は、Netscapeブラウザーのソースコードの開発を引き継ぐために2003年に設立された非営利団体。その収益関連業務のために2005年に設立された企業がMozillaだ。スタッフの9割以上はMozillaの従業員で、リストラの実質的な対象は同社となる。

 今年1月15日、Baker氏は「未来のために」と題したブログで70人のレイオフを発表している。「継続」と「イノベーション」という2つの目的のために「リソースの配分も含めて考え方を変えねばならない。そのために困難な選択も必要だった」と述べ、理解を求めた。だが、それからほんの7カ月で次のレイオフを行うことになってしまった。

 Mozillaの財務状況を知ることができる直近のデータは、昨年11月に公表された2018年分の決算だ。それによると、収益はロイヤリティ、サブスクリプション、広告収入などで総額は4億3570万ドル(財団とMozillaの合算だが、ほぼ全部Mozillaによると考えてよい)。前年の5億4200万ドルから20%減となった。

 同社の説明では、前年は検索の契約改定で収益増があり、“異常値”とも言える業績だったため反動で減少幅が大きくなったが、強固な財務状態を維持しているという。

 しかし、この年、初めての赤字を経験している。実情は楽観できるものではなさそうだ。