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「変わるMozilla」 大規模リストラから新しい道を模索

Mozillaという会社のユニークな位置

 Mozillaは、独特の理念を持つユニークな会社だ。営利企業でありながら、開発の成果を公共のため無償提供してきた。

 財団の元プログラムディレクターでエンジニアのFrank Hecker氏は自身のブログで、「Mozillaは、研究型の組織を実際のビジネスに転換し、世界に(そしてライバルにも)無償で提供することに、自身の存在価値を見いだそうとしてきた」と解説する。

 こうした存在は、例えば、世界の技術開発をリードしたAT&TのBell Labsや、Xerox PARCのようだという。Mozillaの研究開発では、FirefoxやThunderbirdのような一般ユーザー向けから、「FirefoxOS」や「Rust」まで、無数のプロジェクトを立ち上げ、インターネットの世界に貢献してきた。支出の大半は開発に費やしている。

 Hecker氏は、収益の壁に直面した結果、Mozillaは「消費者向けソフトとサービス」の会社か「研究所」かのどちらかを選ぶことを迫られ、前者を選択したようだ、とみている。

 ただ、スタッフの士気の維持や、消費者から利用料を集めることの難しさ、さらに過去にもGoogle依存からの脱却を試みて果たせなかったことなどを考えると、その道は困難なものかもしれない、とも述べている。

 なおHecker氏がMozillaに在籍したのは10年以上前で、これらの見解は、あくまで外部から判断したもの、と注記している。

 Mozillaの発表の翌日、Googleが検索ロイヤリティの契約を更新したとZDNetなどが伝えた。現契約は年末に期限を迎える予定だったが、更新によって、来年から3年間、年間約4億ドルから4億5000万ドルの収益を得られることになるいう。

 大きなピンチは回避できたようだが、「健全なインターネットへの誓い」を掲げるMozillaの模索は続きそうだ。