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デジタル戦略で世界を目指す インドのReliance/Jio

 インドのReliance Industries(RIL)が急速に存在感を増している。「Jio」ブランドの携帯電話でインド首位となった同社は、デジタル化戦略を打ち上げ、わずか3カ月ほどで世界のトップ企業やファンドから200億ドル超の資金を集めた。その第1弾のEコマース事業も早々にライバルを圧倒する勢いを見せている。

国外資本がこぞって参加

 RILは、もともと繊維と石油・石油化学で成長したインド3大財閥の一つで、携帯事業者として世界に名を響かせた。2016年9月にサービス開始したJio Infocommは、無料通話と格安データ通信で既存通信事業者を圧倒し、わずか3年で国内シェア首位に上り詰めた。今年4月末現在のユーザー数は3億8900万(インド電気通信規制庁統計)で、2位のBharti Airtel(1億4200万)に3倍近い差をつけている。

 RILグループは、このモバイルでの成功を基盤として、昨年、グループのデジタル事業を推進する持ち株会社Jio Platformsを設立した。中国Alibabaのモデルにならったものと言われている。モバイル事業から、デジタルコンテンツ、Eコマース、決済までのさまざまなサービスを統括する中核会社だ。

 今年4月、Facebookが57億ドルをJio Platformsに出資すると発表したあと、投資ファンドのSilver Lake(13.5億ドル)、General Atlantic(9.3億ドル)、KKR(15億ドル)などが次々に資本参加。Intel CapitalやQualcomm、産油国ファンドなども続いた。そして、7月中旬にはGoogleが45億ドルの出資を発表した。集まった資金は計210億ドルにのぼる。

 日の目を見ない話もあったようだ。地元ビジネスニュース大手のLivemintは5月、Microsoftが20億ドルの出資交渉をしていると報じた(続報は出ていない)。Microsoftは昨年8月、Jioと10年間のクラウド契約を結んでいる重要パートナーでもある。

 RIL会長のMukesh Ambani氏は、7月に開いた定期株主総会で、グループ全体が“無借金経営”になったことを報告。「3つの超成長エンジン、すなわち、Jio(モバイル)、小売り、石油・石油化学、の計画を支える強力なバランスシートが整った」と宣言した。

 その最初の成果が、オンライン食料品宅配サービス会社「JioMart」だ。