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デジタル戦略で世界を目指す インドのReliance/Jio

伝統的商店を取り込むEコマース戦略

 JioMartは、グループで小売事業を展開するReliance RetailとJio Platformsの合弁で今年初め設立された。スマホアプリで注文を受け、食料品や日用品を宅配するサービスを展開する。連絡には、国内ユーザー4億人超のメッセンジャー「WhatsApp」を活用する。Facebookとの提携の成果だ。

 その特徴は「Kirana」と呼ばれる中小商店をパートナーとすることだ。Kiranaは、インドの町ではよく見かけられる、狭いスペースに商品をぎっしりと並べた家族経営の商店だ。全土に1200万軒あり、小売業者の9割を占めるという。この地域密着型の商店と消費者をつなぎ、卸・受注・販売全体をサポートするサプライチェーンとなる。

 Kiranaは近年、Eコマースの攻勢にさらされている。Amazon Indiaや、Amazon出身者が起業したFlipkart(Walmartが子会社化)の安売り攻勢で、商売が圧迫され、反発を強めている。

 JioMartは、これまでオンラインの波に乗れなかった零細事業者をECに取り込む“共存共栄モデル”を描いている。配達手数料や最低注文額も設定せず、消費者にも負担を求めない。

 Kiranaはもともと、なじみ客への配達をサービスする店が多い。中小小売業者はModi政権の支持基盤の一つでもあり、政府も歓迎する。

 5月に200都市でベータ版としてローンチして数週間後に、1日あたり40万件の販売を達成した。食料品宅配サービスでは、ソフトバンクが出資するGrofersや、Alibabaが出資するBig Basketといった先行ベンチャーがあるが、既に受注数で抜き去ったという。