Infostand海外ITトピックス

デジタル戦略で世界を目指す インドのReliance/Jio

5Gの夢

 人口13億で若者の多いインドには、大きな経済的伸びしろがある。Boston Consulting Groupが今年2月に発表したレポートによると、インドの小売市場規模は2019年で推定7000億ドル。これが2025年まで年平均9~11%で成長し、1兆1000億から1兆3000億ドルに拡大する可能性が高いという。

 特に、スマートフォンの普及や、デジタル化を推進する国の施策に支えられて、Eコマースの高成長が見込まれている。Ambani会長は、RILでは小売を含むデジタル関連事業収益の比率が、現在の約30%から、数年後には半分を占めるだろうと予想している。EC領域で、さらに攻勢を強める構えだ。

 一方、45億ドルを出資してFacebookに次いでJio Platformsの少数株主第2位となったGoogleの動向も気になる。提携の際、Androidベースの新しいスマートフォンOSを構築すると説明。GoogleとRILは「安価な5Gスマートフォンを全てのインド人の手に」を目標に掲げている。

 RILの野望はおそらく、それにはとどまらない。Ambani会長は定期株主総会で、ゼロから設計・開発した国産5Gソリューションを来年から導入する予定であると発表した。コンバージド・オールIPネットワーク技術で、4Gネットワークを簡単に5Gにアップグレードできるという。

 「いったん、Jioの5Gソリューションがインド規模で実証されれば、Jioは5Gソリューションを世界の通信事業者に輸出する地位を確立できる」。Ambani会長はこう述べている。

 中国の5Gソリューションベンダーが排斥されつつある中、インドが食い込む可能性は大いにあるのではないだろうか――。